携帯小説!(スマートフォン版)

トップページ >> SF >> 航宙機動部隊第三章・7

航宙機動部隊第三章・7

[481]  まっかつ  2007-06-19投稿
遍在型擬似太陽光システムが夕暮れを告げ、少しずつ濃度を密にする暗闇を感知して、入れ替わりに一斉に点灯した人工照明群が早々と夜の演出に乗り出す中、庭園の玉石敷が、その輝きを受けて白く照り返す。
移り行く風景を外に、リク=ウル=カルンダハラは赤く点滅し続ける自分のパネルカードを取り出した。
事前設定によって、それはすぐに2Dホロ画像を展開した。
どうやら何かのネット番組が強制着信型で届けられたらしい。
契約外で自動着信する番組等、普通はCMか予告編位なのだが、どうやらそのどちらでもないらしい。
いずれにしても謎だ。
パレオスでは時間帯的にはニュース枠の筈だが、特番でも有るのだろうか?
テンペ=ホイフェ=クダグニンのにも同じのが届いたらしいが、泣くのを止め、さっさと通信を切ると、彼女は番組を見にリクの隣に寄り添って来た。

そこにはいきなりオストレスタジアムのライヴ会場が一杯に写り、何曲目かを歌い終わったばかりのマエリーがステージ中央で手を振り、恐らくは十万は越えるであろう観衆達に挨拶してる姿がアップされた。
小柄だが生気と磊落さに溢れ、豪快さすら感じさせるその美貌は、確かにかつてリクがバーの事件現場前で遇ったあの令嬢に間違えなかった。
切れ込みの深い上に恐ろしく薄い衣裳は、実に際どく、フェミニスト激怒必至の露出振りだったが、マエリーは見事、スポーティに着こなし、いやらしさは微塵も無い。
そして―\r
(あ…あれは…)
少年が驚いたのは衣裳ではなく、彼女の右の手首に巻き付けながらひらひら舞う白銀の布だった。
貰った黒翡翠のお礼に交換した自分の帯がそこには有った!
彼の発見などお構い無しに、映像は続く。

(それじゃあ、これはまだ発表してないけれど、この最外縁に来ると決まってから作った曲―みんなの耳に合うかしら?題名は『なぜ 争うの?』いつも通りサビの唱和お願いね!?)
ハリの良い彼女の声が合図すると、ステージ後ろに控えるメンバー達の生バンドが演奏を始め―\r
マエリーは歌い始める。

(人は分かっていても 闘いを止めれない
愛を知り虚しさを知っても 憎しみは無くならない
何故争うの?それは誰のため?
私は望まないわ 例えそれが愛する貴方だとしても)
歌に聞きいる二人の前で、画像は前振れも無く白い閃光に包まれた―

感想

感想はありません。

「 まっかつ 」の携帯小説

SFの新着携帯小説

利用規約 - サイトマップ - 運営団体
© TagajoTown 管理人のメールアドレス