航宙機動部隊第三章・8
突然の眩しさに目を瞑る二人の前で、2Dホロ画像も激しくぶれ続け、おびただしい光量と音量の余韻がまだ残るのを感じながら恐る恐る目を開けたリクとテンペの前に映るは、無秩序に倒れては折り重なる人々の山々―血と炎と黒煙に、それは見るも無惨に彩色されていた。
累々と横たわる死体と瓦礫が果てまで広がる光景が、そのまま十秒ばかりスクロールし、今度はその一角がクローズアップされる。
見ると、倒れた女性のスカートにしがみ付き、一人の男の子が哭き叫んでいるではないか。
そして、その子の姿を中心に、左右に新しい映像が分割表示された。
右側には、口元を笑わせながら恐らくはあの親子を狙わんとするスナイパーが、どこかのビルの窓からライフルの引き金に指をかけ―そして、左側では死体を掻き分けながら姿を現したマエリーが、七〜八Mのグロテスク極まる道程をよろめきながらも早足で、鳴き声のする方へと向かい、親子の所でしゃがみこんだ。
本人も衣裳はぼろぼろ、顔も肌も煤で黒く覆われ、あちこちから血を流し、かなりの怪我をしているみたいなのに、リク=ウル=カルンダハラが渡した白帯を手首から外し、複数の赤い川が這っている男の子の額に巻いてやっているのだ!
そして、笑顔すら浮かべて元気付けているではないか!
(頑張って…必ず助けが来るわ…お母さんも…きっと…助かる…か…ら…)
急激な温度差によって呼び込まれた猛烈な熱風が吹きすさぶのに邪魔されながらも、かすかに響く彼女の声は、確かにそう語りかけていた。
だが―\r
その様子に悪意に満ちたせせら笑いで答えながら、画像右のスナイパーは狙撃を始め、音もなくマエリー達のすぐ側の死体に弾丸が突き刺さり、僅ながら踊らせた。
慌ててマエリーは男の子を抱き寄せ―小さな命を守るべくその上に覆い被さったのだ!
そして―\r
まともにプライドを蹂躙されたかの様に口元を醜く歪めたスナイパーは、狙いを微調整し、容赦ない連射でそれに報いた。
立て続けに二つ、はだけた背中から血しぶきがあがり、マエリーの頭髪と顔は、衝撃でその度浮き上がり―見開いたまま硬直した両目を宙に向けて、少しの間静止を続けた。
そして―何かを話そうとして動かしかけた唇も虚しく、光の失われた目を閉じる事すら叶わず、彼女はそのまま地面に突っ伏したのだった。
累々と横たわる死体と瓦礫が果てまで広がる光景が、そのまま十秒ばかりスクロールし、今度はその一角がクローズアップされる。
見ると、倒れた女性のスカートにしがみ付き、一人の男の子が哭き叫んでいるではないか。
そして、その子の姿を中心に、左右に新しい映像が分割表示された。
右側には、口元を笑わせながら恐らくはあの親子を狙わんとするスナイパーが、どこかのビルの窓からライフルの引き金に指をかけ―そして、左側では死体を掻き分けながら姿を現したマエリーが、七〜八Mのグロテスク極まる道程をよろめきながらも早足で、鳴き声のする方へと向かい、親子の所でしゃがみこんだ。
本人も衣裳はぼろぼろ、顔も肌も煤で黒く覆われ、あちこちから血を流し、かなりの怪我をしているみたいなのに、リク=ウル=カルンダハラが渡した白帯を手首から外し、複数の赤い川が這っている男の子の額に巻いてやっているのだ!
そして、笑顔すら浮かべて元気付けているではないか!
(頑張って…必ず助けが来るわ…お母さんも…きっと…助かる…か…ら…)
急激な温度差によって呼び込まれた猛烈な熱風が吹きすさぶのに邪魔されながらも、かすかに響く彼女の声は、確かにそう語りかけていた。
だが―\r
その様子に悪意に満ちたせせら笑いで答えながら、画像右のスナイパーは狙撃を始め、音もなくマエリー達のすぐ側の死体に弾丸が突き刺さり、僅ながら踊らせた。
慌ててマエリーは男の子を抱き寄せ―小さな命を守るべくその上に覆い被さったのだ!
そして―\r
まともにプライドを蹂躙されたかの様に口元を醜く歪めたスナイパーは、狙いを微調整し、容赦ない連射でそれに報いた。
立て続けに二つ、はだけた背中から血しぶきがあがり、マエリーの頭髪と顔は、衝撃でその度浮き上がり―見開いたまま硬直した両目を宙に向けて、少しの間静止を続けた。
そして―何かを話そうとして動かしかけた唇も虚しく、光の失われた目を閉じる事すら叶わず、彼女はそのまま地面に突っ伏したのだった。
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