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航宙機動部隊第三章・8

[510]  まっかつ  2007-06-21投稿
『うはっ…はっははは…はっはっはは、ひゃっ…ひゃっひゃっひゃっ、あひゃひゃっひゃっひゃっ…いやあ、傑作♪』
躯全体に液体酸素をぶっかけられたみたいにフリーズし切ってしまったリクとテンペのどちらか、あるいは両人共が発狂した分けではなかった。
2Dホロ画像は、一端真っ暗闇となり、その中から、二人の良く知る、普段から完全に正気を喪失している例の声が、聞くもおぞましい旋律を掻き散らしては、何千万対の耳道と言う耳道に、嫌悪と恐慌をねじ込んだ。
そう―\r
ぼうっとともされた灯りを受けて、浮かび上がったのは、名実ともに玉座としか形容しようのないきんきらきんの肘掛け椅子と、その上に脚を組んでふんぞり返る、あの少年だった。
『中々見物だったろう?君達』
地球時代近世の西洋貴族の服装で満艦飾となった彼は、ご丁寧に金色のかつらを被り、白粉(小麦粉パウダー)を分厚く塗りたくった相貌は、両頬と唇に紅まで加えられている。
おまけに黄色を基調とした上着には、至る所宝石や貴金属で派手派手しく埋め尽され、わずか二割しか元の地が確認出来ない―\r
どう考えても気違いじみた格好にしか見えないのだが、確かに間違え無いのだ―星間諸侯の正装のこれが一種ではあると。
そして、生ける純金像が披露した言葉と思考は、気違い何て代物ではなかった。
『僕も気に入ってるよ。僕はねえ、人のはともかく、自分が手掛けた作品には正直手を抜きたくない質だからねえ?だが、こう言う悲劇も悪くないだろ?少し臭過ぎる設定かとも心配したが、主演が実に優秀に働いてくれたから、まあ、満足しても良いだろうね?ハ、ハハハハッ、キャハハッ♪』
フーバー=エンジェルミの暴走は止まらなかった。
否。
今の星系合衆国(ユナイティド=システムズ)陣営内で彼を止めれる者はもう居なかったであろう。
『そうだっ!このシナリオを描いたのはこの僕だ!全てはね、この僕の掌の上に有るんだよ!どうだい、凄いだろ?だがね、その理由も知りたいだろう?いやぁ、ゴメン!じ・つ・は・ねぇ〜…み〜んなサイコロで決めたんだよ〜ん♪』
身と腕を翻し、熱弁にはしゃぎ回った後、テロリストの総帥は、歪み切った笑面を画面一杯に押し付けた!
『…な〜んて…ウッソ〜ン♪』
頭の後ろに回した両手の指をひらひら踊らせて、彼は目をくるくる回して挑発を続けた。

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