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航宙機動部隊第三章・13

[431]  まっかつ  2007-06-26投稿
そして、翌七日早朝―\r
二人の共和国星民の居住する和式第邸にも、当然の如く遍在型・疑似太陽光が照射され始める中、少しずつ強度をますそれを浴びつつ、母屋から出て来たテンペ=ホイフェ=クダグニンは、じゃりじゃりと玉砂利を踏みしめながら庭園を歩き、リク=ウル=カルンダハラの離れへと向かった。
書院造りの縁側に立ち、そっと障子を開けると、予想に反して、あるいは予想通りに―彼女の同胞にして形式的下僚は、唐机に浮かぶ2Dホロ画像とキーボード相手に優勢に戦いを進めていた。
『これを見ろよ、テンペ』
畳に直に正座したままの少年の横顔は、見る者に目を向ける事もなく、ただそれだけを言った。
沈黙のまま履物を脱ぎながら、畳に上がった彼女は、普段とは異質な物を二つばかり認めた。
いずれも観戦武官の肉体にそれ等は由来していた。
右手には巻き付けられた白い包帯、そして首からは通された金糸でぶら下がる、大振りの黒翡翠が、怪しく煌めいていた。
前者は予想が付き、後者には名状し難い不安感をテンペは覚えたが、その時彼女は指摘をするのを控える事にした。
リクは相手の様子に何も気付いていないみたいだった。
唐机の上から熱い緑茶の入った焼き物を口に運びながら、更にパネルカードから可視光展開されたキーボードを操作して、CG分析図を2Dホロ画像に映し出した。
『奴等の使ったのは、確かに核だ―だが、不自然だと思わないか?幾ら小型でも、普通にその手の兵器を起動すれば、真上の人間はすぐさま蒸発する』
テンペは少年の真後ろにまで来て、その画像を覗き込んだ。
そこには太子党が使用したのと同型と思われる核地雷のシュミレーターが、あらゆる環境・条件下での起爆を矢つぎばやに再現し、結果数値をカウントしている。
『だが―連中は軍事的に素人だった。極初歩的なミスを冒している』
テンペの目の前で今度は、放散エネルギーが今までとは正反対のベクトルを指向した。
真っ直ぐ地底へとほとばしったそれは、一種の乱反射を繰り返し、複雑な相互干渉を経ながら本来のスペックには与えられてない広範囲にまで、影響力を及ぼしていたのだ。
『詰まりな―奴等は逆向きに地雷を設置したんだ。お陰で爆心地が一瞬にして消滅する惨事は避けられた。抉られた大地や資材が爆風に乗って猛スピードで飛び、怪我人は増えたがな』

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