恋愛ごっこ
僕はホームで電車が来るのを待っている。
いつもの電車だ。7時55分。5分前。彼女がやってきた。
ホームから駐輪場が見える。彼女は自転車をとめ、かごからバックを取り出し、構内に走る。
彼女は僕が中学生だったときの同級生だ。
僕は電車が来る方向を見る振りをして、彼女が来るのを待つ。
彼女は電車がホームに入ってくる1分前にいつもの場所に立つ。
電車が来た。
僕は早めに来ているので、彼女より必ず先に乗り込む。
僕は一歩踏み込み、入ってきた方向に振り向く。
目が合う。
ドアが音を立てて閉まる。
ゆっくり走り出す。
彼女はすばやく僕とドアの間に滑り込む。そしてドアに手をつき、体を支えながら、器用にバックから本を取り出し、読みだした。
僕はいつも彼女の流れるような、その動作に感心する。
僕は彼女越しに、窓の外の風景を眺める。
ときどき、揺れてバランスを崩しそうになるけど、彼女は本を読みつづける。
僕は、彼女を観察する。少しうつむいているので、肩までの髪が顔を隠している。
降りる駅に着く。
また、音を立ててドアが開き、降りる。
彼女は背筋を伸ばし、早足でホームを歩いていった。
僕も、ゆっくり歩き始める。
>「きらら」への投稿作品。20日に発表のものです。
いつもの電車だ。7時55分。5分前。彼女がやってきた。
ホームから駐輪場が見える。彼女は自転車をとめ、かごからバックを取り出し、構内に走る。
彼女は僕が中学生だったときの同級生だ。
僕は電車が来る方向を見る振りをして、彼女が来るのを待つ。
彼女は電車がホームに入ってくる1分前にいつもの場所に立つ。
電車が来た。
僕は早めに来ているので、彼女より必ず先に乗り込む。
僕は一歩踏み込み、入ってきた方向に振り向く。
目が合う。
ドアが音を立てて閉まる。
ゆっくり走り出す。
彼女はすばやく僕とドアの間に滑り込む。そしてドアに手をつき、体を支えながら、器用にバックから本を取り出し、読みだした。
僕はいつも彼女の流れるような、その動作に感心する。
僕は彼女越しに、窓の外の風景を眺める。
ときどき、揺れてバランスを崩しそうになるけど、彼女は本を読みつづける。
僕は、彼女を観察する。少しうつむいているので、肩までの髪が顔を隠している。
降りる駅に着く。
また、音を立ててドアが開き、降りる。
彼女は背筋を伸ばし、早足でホームを歩いていった。
僕も、ゆっくり歩き始める。
>「きらら」への投稿作品。20日に発表のものです。
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