携帯小説!(スマートフォン版)

トップページ >> SF >> 航宙機動部隊第三章・27

航宙機動部隊第三章・27

[446]  まっかつ  2007-07-13投稿
ペアリーノ=グイッチャルディーニ議長も星民憲政党政権も、その政治生命を奪われる事態こそ免れたが、翌第二期四日[修正太陽暦一月九日]に再開された星民会議本議会の結果は、それが彼等への信任の意思は微塵の欠片すらない事を如実に現していた。
少なく共為政者側からすれば、その結果は惨憺たる有り様と言う外無かった。
本来ならば戦時体制を準備する場として位置付けられた今議会で、それを目当てに用意された合計四三の法案が事々く否決され、どうにか賛同を得られたのは、例のパレオス防衛軍を設置する【防衛企業にパレオス星系の守備を委託する特例法】と、太子党による拉致に始まってこの方、先日の武力衝突に至るまでに被害に遭った星民を救済する【国家内擾による犠牲者への緊急措置法】のたった二つだけだった。
規定分だけでも会期は九0日有るとは言え、重苦しい波瀾に翻弄されながらの船出に、誰しも先が思いやられる感を否めなかった。

だが、破局はそれよりも早く訪れて来たのだ。
それは無責任かつ悪質極まる報道合戦の形を取って、パレオス星邦その物を容赦なく引き裂きにかかった。
電子新聞・ダウンロード雑誌・配信番組・無料簡易速報・ありとあらゆる媒体を通して、扇情と刺激に満ちた見出しが躍った。
『徹底討論!星間諸侯に貴方は賛成?反対?』
『太子党で産み出される経済効果は五00億フロリン規模』
『被害者の人権ばかり語るな!』
『こんなに凄い!太子党総帥フーバー=エンジェルミ殿下の仰天セレブ生活』
『パレオスは太子党と手を携えるべき』
『この戦時に呑気にコンサートに行く被害者達に同情する奇妙な人々』
『太子党ファッションで貴方も恋愛の勝ち組に!』
『太子党反対運動はただの貧乏人の憂さ晴らし』
『文化的摩擦に過剰反応を示す自称愛国者に苦言』
『太子党の統治はこんなにお得!』
『パレオス人士よ!現実を見据えよ!小さな犠牲は将来の成功への踏み台だ!』
『フーバー=エンジェルミに批判的なモテない男』
『危険だが刺激的な太子党の支配で停滞を吹き飛ばせ!』

一斉に張られたキャンペーンは、公正と中庸に著しく欠け、良識や知性を保とうとする姿勢は最初から見られ無かった。
剥き出しの商業論理と数字競争―マスコミの最も醜悪な側面がこれ程露骨に現れたのも、珍しかった。

感想

感想はありません。

「 まっかつ 」の携帯小説

SFの新着携帯小説

利用規約 - サイトマップ - 運営団体
© TagajoTown 管理人のメールアドレス