携帯小説!(スマートフォン版)

トップページ >> ホラー >> 怪〜KAI〜

怪〜KAI〜

[639]  あいじ  2007-07-28投稿

この世には決して見てはならないモノたちがいる。
彼らは闇に潜み、私たちと恐怖という絆で結ばれている…


第一怪 座敷わらし

その部屋は薄暗く、奇妙な雰囲気を醸し出していた。
その部屋は僅かに入ってくる太陽の光さえカーテンで遮断し、一種の空間を作り出していた。
部屋中にじめじめとした湿気が充満し、壁には奇怪なオブジェが無造作に飾られていた。
本棚に入り切らなかった本が床に積み重ねられ、足の踏み場も無いほど敷き詰められている。
その中心でソファーに寝転がっている男がいた。
男は顔に水木しげる著の妖怪図鑑を被せ、いびきをたてて惰眠を貪っていた。
「教授、起きてください!」
ドアが開いて快活な声とともに一人の女性が入ってきた。
女性はまだ少女の面影を残しており、全体的な幼さが感じられた。
彼女は床の本を押しのけ、カーテンを開けて、窓を全開にした。男は急に入ってきた光に驚き、本とともにソファーから落下した。彼は逆さまの状態で女性を眺めた。
「…おはよう、弥生子くん…」
「おはようございます…由良教授」

彼の名前は由良和明。帝都大学民族学教授であり、だいの妖怪マニアとして知られている。しかし、それ以外の経歴は一切不明という謎めいた人物である。
彼の講座である民族学は人気が低く、今年の受講生は彼女…柊弥生子ただ一人だった。


「なにやってんですか、まったく…」
床に散らばった本をまとめながら弥生子が呟いた。
「いや〜、水木しげる先生の妖怪図鑑を手に入れてね読んでたらお腹すいてきて…でも、何にもないからそのまま寝ちゃったんだ」
弥生子は呆れて声も出なかった。再び作業に取りかかろうとした時、部屋の電話が鳴った。
「はい、民族学研究室…由良教授ですか、はい、いらっしゃいます…」
弥生子は受話器を指差し、由良に電話を変わった。


感想

感想はありません。

「 あいじ 」の携帯小説

ホラーの新着携帯小説

利用規約 - サイトマップ - 運営団体
© TagajoTown 管理人のメールアドレス