携帯小説!(スマートフォン版)

トップページ >> ホラー >> 怪〜KAI〜

怪〜KAI〜

[672]  あいじ  2007-08-02投稿
座敷わらし?

「どうも…遠い所からよくいらっしゃいました」
女将はそう言うと丁寧に頭を下げた。
結局由良と弥生子の二人がその旅館にたどり着くまでにかなりの時間を費やしてしまった。既に日は沈み、辺りは真っ暗になっていた。
「いえ…僕達が道に迷っていただけですから…それより」
由良はそこで話を切った。
「この旅館…『澁澤宿』の話を聞かせてください」


澁澤宿は今年で創業二百年になろうと云う老舗の旅館である。正確な年号はわからないが、江戸時代末期から続いているらしい。
「うちは長い歴史を持ってますから色々な噂話が出てくるんですよ。今回の子どもの幽霊も珍しくないのですが…」
そう言うと女将は昔から澁澤宿に伝わっている話を聞かせてくれた。

澁澤宿の裏には『人喰い柳』と呼ばれているものがある。
何代か前の女将が子どもを生んだ。
女将は自分の子どもを深く可愛がっていたがその子どもが五歳の時、突然行方不明になった。女将は勿論、宿の者達も総動員で探したが見つからない。
何日も探したが、見つからなかった。
だがある時、家人の一人がその柳の前を掃除していると…
ゴトン…
柳から何か落ちて来た。丸い物体で何か紙のような物に包まれている。
家人が不思議に思い、その紙を開くと中には腐りかけた子どもの頭が入っていたのだった。
家人達は柳をさらったが頭以外の部分は見つからなかった。頭以外の部分は喰われてしまったなどと云うものまで現れ、それ以来、『人喰い柳』と呼ばれるようになったのだと云う…


「今もその柳の木はありますか?」
黙って話を聞いていた由良が口を開いた。
「はい…もう何年も変わらずに裏のほうに立っています」
由良は腕を組んで考え込んだ。その腕を弥生子がぐいぐいと引っ張た。
「教授…私もう疲れたんですけど…」
「あー…仕方ないね…」
由良と弥生子は女将に礼を言うと部屋から出ていった。


感想

感想はありません。

「 あいじ 」の携帯小説

ホラーの新着携帯小説

利用規約 - サイトマップ - 運営団体
© TagajoTown 管理人のメールアドレス