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処刑生徒会長13

[977]  まっかつ  2007-08-17投稿
港リリアが退出して間もなく、机上に置かれたノートパソコンに通信が入った。

連絡主の名前を確認して、梅城ケンヤは少し嫌そうな顔をした。

だが、同時に出ない分けにもいかないのも分かっていた。

《梅城会長!また処刑されたんですって!?》

写し出された画面で腕を組み、早速相手は噛みついて来た。

《これで何人目です!?幾ら改革の為とは言え、このペースじゃあ貴方の卒業までに生徒は全員死んでますよ!?》

『九重会長―今俺しか居ないから、いつも通りの話し方で結構だよ』

《じゃあケンヤ》

梅城ケンヤは頭を抱えたい気分になった。

―全く今の俺最大の死角はこいつなんだよ…

今時絶滅種指定のセーラー服姿に巨大な真紅のリボンがトレードマークの美少女だった。

名前は九重モエ。

恋人でもなんでもない。

『九重会長…そこまで親しそうだと却って誤解を招く』

《分かりましたわ。ケンヤ》

今更ながらの訂正も、見事に踏みにじられて、梅城ケンヤは彼女と知り合ったいきさつを、心から恨んだ。

ナツと比べればさして深刻ではないかも知れないが、それでも運命は皮肉に満ちているらしい。

『俺のやり方に不満でも?だが、他校の会長にとやかく言われる筋合いはない』

そう、九重モエも生徒会長だ。

しかも、ケンヤと同学年、ほぼ同時期に選出されている。

《それは分かります―ですが、武断主義で全てが解決するとお考えですか?》

画面越しに向けられる質問は、かなり本質を突いていて、ケンヤに苦慮を強いるに十分だった。

『そうは思ってない―だが、改革にも順序がある。いずれは安定を目指すにしても、最初からきれいごとだけで解決は望めない』

九重モエは隣の、私立k学院の会長だ。

対イジメ強硬派の先代会長の【殺りすぎ】がリコールを招き、行われた臨時選挙で『報復の否定』を旗印に立候補した彼女は、絶大な支持を集めて当選を果たした。

よってケンヤとは真逆のパターンなわけだ。

今では近隣の穏健派のまとめ役として、ケンヤですら一目置かざるをえない存在なのだ。

否。

一目置く所じゃない。

実際彼女には頭が上がらないのだ。

《貴校の事情は承知しています―ですが、いつかは死刑を無くすのでしょう?ケンヤも?》

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