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ロストメロディ

[522]  あいじ  2007-08-18投稿
始まりに
二十世紀に大きな戦争がありました。
それは天使と人間の全面戦争でした。

その戦争に勝ったのは天使の方でした。
人間は天使に従って生きる道を選んだです。


学校の屋上。
青い空に爽やかな風が吹き抜ける。
非常用のドアを開ける音で、少年は目を覚ました。少年は起き上がりドアの方へ顔を向けた。
「先生…」
ドアの所にはヨレヨレのコートを着た眼鏡の男が息も絶え絶えに立っていた。
「やっと見つけましたよ…今日こそ僕の授業にでてもらいます、いいですね…緋村刹那君!」
刹那と呼ばれた少年は教師の方を見つめ笑顔を作った。
「ゴメン先生!」
刹那はそうそう言うとフェンスを乗り越えそのまま下へ飛び降りた。
思わず絶叫する教師を尻目に刹那は空中で回転し無傷のまま着地しそのまま校門へと走り去った。
「おい見ろ、緋村のやつまた授業サボる気だぜ?」
「いいじゃん別に。俺らに関係ないし…なんかあいつ付き合いづらいんだよね…浮いてるっていうか…」
授業中の生徒達から聞こえる声も彼には届かなった。


「じいさんいるかい!?」
橋の下にあるボロ小屋。周りがガラクタで囲まれておりほとんど足の踏み場もない。刹那はその入り口を勢いよく開き声を大にしていった。「なんじゃい…」
中から小柄な老人が出てきた。顔に刻まれた皺が年月の長さを表していた。
「じいさん、今日も戦使の話を聞かせてよ!前の戦争で天使と戦った戦使達の話を!」
老人はやや呆れながらもどこか嬉しそうに語り始めた。

刹那がこの老人と出会ったのは数年前の事だった。
親や周りの大人達からそこは危険な場所だから近寄ってはいけないといわれていた。しかし刹那にはそう思えなかった。老人は優しいし親や大人が決して話してくれない面白い話を教えてくれた。
中でも以前あったという戦争の話、それが一番のお気に入りだった。
この世界は天使に支配されていること…刹那は自由の為に戦った戦使達に憧れるようになった。

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