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処刑生徒会長第二話・4

[882]  まっかつ  2007-08-22投稿
同日・都内国立A大学附属高校―\r

『それは間違っています。弱者は守るべきであって、見捨てるべきではありません!』

同校生徒会にて行われたディスカションで、一際光彩を放つ男子生徒が一人…

『誰かを【敵】に仕立てあげ、攻撃することで一時の安全を保つなど、あってはならないことです―僕はそんな考えはしたくありません。綺麗言と思われても結構です』

熱弁に感動したメンバーから満場の拍手を浴びながら、村上シンジは深々と一礼した。

黒いままの七三分けに眼鏡と言う前世紀の遺物みたいな外見をしていて、表情もしゃべり方も堅苦しいくらいに真面目だ。

事実、成績その他も欠点を見い出すのが困難な完璧振りで、しかも将来の夢は【キャリア官僚になり霞ヶ関入り】と、期待を裏切らない非の打ちどころのなさだった。

しかも、一般のガリ勉タイプがともすれば敬遠しがちなボランティア活動も必ず参加し手を抜かず、老人ホームや障害者団体などから贈られた多数の感謝状が、彼の自室の一角を埋め尽している―\r

末は博士か大臣か―\r

周囲の誰もが、そう彼の将来を嘱望し、事実本人も一度たりとてレールを踏み外した例しはなかった。

そう、なかった筈なのだ―\r

『シンジ君!今日の演説、とっても良かったわ!』

ディスカション終了後、教室に戻った村上シンジに、生徒会メンバーの女子生徒が話しかけてきた。

『ん?ああ…いや、大した事ないよ』

『本当、今の学年代表って最低よね?【学内テスト得点下から10%の成績不良者を強制退学】なんてさ。そりゃ学校の風紀を乱す者なら別だけど?いくら何でもこれはやり過ぎよ!』

そう憤慨して見せながら、彼女は開けっ放しにされた窓の下枠に腰を預けるシンジの隣に並び―\r

『これって形を変えたイジメよ!そう思わない?』

『うん、そうだね―俺もイジメは嫌いだから、絶対許せないよね』

シンジは前を向いたまま、彼女に同意した。

『本当、シンジ君て今時珍しい位真面目よねえ?イジメなんかした事ないでしょう?』

『もちろんさ』

シンジは断言した。

『イジメなんて聞くだけでムシズが走るよ、本当に。どれだけ理由が有っても、イジメをやって良い口実にはならないし、弱いとか気に入らないとかだけでイジメられる何て…こんな残酷な事で誰も犠牲になって欲しくない』

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