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航宙機動部隊・前史3

[505]  まっかつ  2007-09-08投稿
それから宇宙文明が発展し、人口が爆発し、人類は大々的に外宇宙への植民に乗り出した―分けでは無かった。
確かに戦争の集結と超地球規模の大統一は、人類に未層有の繁栄をもたらしたが、それで飽和するには太陽系は広過ぎもし、また豊か過ぎだったのだ。
宇宙文明の揺り篭は、そのまま子供部屋の役割を果たし始めた。

それでも観測や無人探査なら活発に行われ、後の航宙文明の土台となる理論は、この太陽系時代に実はあらかた準備されたのだ。
西暦二四二二年には、光速航法が可能になる超粒子複合体・摩擦反応炉(フリクション=リアクター)の雛形が既に試作されていた。
同じく二四五0年・いわゆるワープ航行の原理が確立した。
一から五次元までを結び付ける【時空抽象場】を壊して、単離したそれぞれの次元を操作しながら再構成すると言うやり方で、時間と距離を稼ぐ技術だった。
更に二四八七年には、【超時空場】を利用した瞬間転送【テレポート】の実験から、対象の情報だけなら時間をかけずにどこまでも遠くに届ける原理が発見された。
テレポート自体は完全な失敗に終わったが、理論的には時差なく宇宙の果て同士が交信出来る、より実用的かつ重要な手段を、割と早くに人類は手に出来たのだ。

だが、いずれもこの時代に置いては【無用の長物】だった。
路地裏でスポーツカーをぶっ飛ばす者などいない。
生存に必要な空間も資源もエネルギーも、太陽系だけでもまだまだ使い切れない段階だったからだ。

人類は取り合えず持てる力と欲望を、太陽系開発に注ぎ込んだ。
西暦二五00年には、人類の総人口は二00億を突破したが、逆から言えばまだその位の規模に止まっていたのだ。

しかも、その内八0億までもが、地球に貼り付いたままだった。
進んだ環境・リサイクル技術によって、資源や食糧問題が解決した地球は、二億人が住む月と併せると、今だ経済規模では人類世界の半分を占めていた。
だがそれでも、太陽系全体の首都たる火星の比重は年々重くなって行った。

人口は今だ三億人に過ぎなかったが、先の光速航法始め、宇宙文明に対応出来る科学技術のほとんどがこの地で開発され、また、尖端科学者やエンジニア・宇宙船クルーの大半が、ここを故郷とするか、ここで教育された者達で占められていた。

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