携帯小説!(スマートフォン版)

怪奇

[1001]  金田七耕助  2007-09-19投稿
 ある年の春休み、香港に旅行に行った。私は一人だが、ツアーに組み込まれた。
 自由な時間に、三人のツアー仲間とブランド品販売の店に入った。極端に安いことからして、偽ブランドを堂々と売っているようだ。
 仲間の中の一人、22才の女性がワンピースを試着してみると言って、狭い試着室に入りカーテンを閉めた。
 残された三人は、バッグなどを見ながら待った。しかし、10分待っても20分待っても出てこない。声をかけたが返答がないので、思い切ってカーテンを開けたが誰もいない。服もない。
 添乗員を呼び店長に話したが、全く分からない、警察に届け出て下さいと答えた。
 見つからないままに、残りの四日を過ごし、帰国した。家族は青くなっていたが、事件扱いにはなっていなくて、単なる失踪者扱いのようだ。
 …それから九ヵ月、年末にも香港に旅行に行った。気になっていたので、一人であのブランド店に行ってみた。
 店の奥の店主の横の椅子に、あの行方不明の女が腰掛けていた。どうやら店主の妻になっているようだ。妊娠九ヵ月か臨月に見える腹をかかえて本を読んでいる。

感想

感想はありません。

「 金田七耕助 」の携帯小説

ホラーの新着携帯小説

利用規約 - サイトマップ - 運営団体
© TagajoTown 管理人のメールアドレス