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航宙機動部隊前史・7

[654]  まっかつ  2007-09-26投稿
まず西暦二八三三年に、太陽系から八八光年離れたフォイツン1775恒星系で、地球の凡そ五倍の大きさ・八倍の質量を有する(スーパーアース)が発見され、巨大な岩盤層の下に莫大な水と鉱物資源がある事が判明した。
長年論議の的だった工業用核が現地の独断でぶち込まれると、予想外の早さで海と大気が形成された。
この惑星の地下水と岩盤層には、酸素・二酸化炭素がふんだんに含まれていたのが原因だった。

更に太陽系からおよそ八・三光年先のラランド恒星系で発見された第二惑星も、開発の的になった。
こちらは恒星の活動が不安定で、そのハンディから遅れを取っていたが、惑星自体には豊富な水があり、外に電磁膜に守られた特殊な大気層を広げると共に、地下深くに都市を築き、そこを生活圏にする方式で、課題は克服された。
前者は西暦二八六六年に、後者は同じく二八七九年にそれぞれ可住化が成され、こうして人類は太陽系以外に始めて、住むべき惑星を手に入れたのだ。

そしてそれは、初の太陽系以外の恒星系国家・ひいては文明の誕生を意味してもいた。
勿論、未熟にして貧弱なそれは【独立国】だ。
だが、歴史上、規模や国力が如何に小さく共、宗主国に逆らって独立を果たした例は多数ある。
地球時代のヴェネツィア・オランダ・アメリカ一三州・近年では火星だって、当時地球の十分の一以下の経済規模で互角以上に宇宙戦争を闘い抜いたではないか。

幸か不幸か、安定した恒星その物はそう多くは無く、仮に有っても地球型の惑星まで従えてるケースは、更に少なかった。
だが、第二第三の太陽系連邦が成立し兼ねない事態は回避出来なかった。
これに、年々拡大を続ける航宙遊牧民・狩猟民の存在も無視出来えなくなって来ていた。
航宙遊牧民は、大規模な光速船団を組織し、いつ強大な軍事勢力に成長するか分からなかったし、狩猟民に至っては、それよりは小規模な集団に分かれながら、あらゆる恒星系に拠点を構え、それぞれ独自に驚異的な技術力を蓄えつつ有ったのだ。

太陽系連邦を中心とした枠組みは、そろそろ限界を迎えつつあった。

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