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処刑生徒会長第三話・13

[716]  まっかつ  2007-10-04投稿
九重モエは演壇に立った―\r

『皆さん―私は確かに梅城会長の方針・やり方には賛同出来ません。ですが、同時に暴力には暴力をでは解決出来る話ではないと思います―それは私達の掲げる旗に反するだけでなく、結局はイジメや、それに対する処刑是定派を利する事になります。ですから私は自らの理念を裏切る積もりはありません』

『じゃあこのまま、彼の侵略を認めろ、と言うのかね?』

『そうではありません』

九重モエは否定した。

『我々は別の闘いをすべきなのです―奈良木会長の懸念される通り、梅城会長は強力なリーダーであり、しかも彼は更なる権力・勢力の拡大を図っており、警戒が必要なのは良く分かります―ですが彼はそれ以上に、イジメや腐敗を憎み、健全かつ安全な学校を望み、秩序を確立し一般生徒をしっかり保護しています。彼が求めているのはやはり平和なのです―私達と同じく、あるいは私達以上に』

『だけどね九重会長―そのために何をしても良い・何人殺しても構わないでは、やはり危険じゃないかね?』

九重モエは、今度は否定しなかった。

『ええ。彼の場合は目的は一緒でも手段が異なると思います。武断か対話か、実力か理念か―ですが今、彼は力だけでなく衆望も集め、部下の信頼も厚く、生徒達からは絶大な支持を得ています。一条フサエの件で多少の動揺はあるでしょうが、ただの独裁者でないのは確かです』

『つまり、彼を味方に付けると?』

九重モエはそれを是定した。

『彼は改革派の旗手であり、事実大きな成果を挙げています―私達はだから、彼以上の覚悟と信念をもって彼と闘うべきなのです。彼に私達の理念を理解してもらい、処刑路線ではなく始めに対話ありきで臨む事の必要さを納得して頂く―そうすれば最終的な勝利が得られ、しかも最強の敵が最大の味方になります』

九重モエは確信を持って宣言した。

『これが私達の闘いです。一人の兵も動かさず、一発の銃弾も撃たず、一滴の血も流さない―あるいは戦争よりも困難かも知れませんが、彼に力以外の・力以上のやり方がある事を知ってもらいましょう』

これを聞いて、穏健派会長達は全員、聴講席から立ち上がり、皆一様に九重モエの所心を称賛した。

講堂は満場の拍手に包まれ、ここに九重モエは改めて穏健派の指導者として認められたのだ。

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