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ただ平和が欲しかった?

[412]  デル  2007-10-06投稿
こんなことを考えていたのは確か中学3年の頃だった。
昨日までの5日間の休み、GWが終了し、俺はだらけきった体を学校に向けて動かしながら、そんなことを思い出していた。
ほんとに突然に。
「全く、俺も夢見がちなものだな。」
いくらなんでも現実離れしすぎているのも考えものだ。
日本を壊すなんて無理にきまっている。
どこにでもいる一学生に国家を打倒するなど不可能なこと。
実際いくつかものテロ組織があるのにもかかわらず、そいつらの作戦は一つも成功した例がない。
いや、できないんだろう、おそらく。
日本側に有能な司令官かなんかがいるのかもしれない。
ま、そんな都合良く物事が進むわけないさ。
一歩一歩、まるで意識の遠のくような長い坂道を登っていると後ろから声を掛けられた。
「うぃーす」
振り向くと、そこには大きなかばんを提げた大石優(おおいし まさる)の姿があった。
こいつとは一応小学時代から知ってる幼馴染で、成績とともに容姿も並み、頭はスポーツ刈りで、明らかに僕は野球をやってますと言ってるような印象を受ける。
まぁ実際野球部に所属しているんだが。
大石も俺と同じでGW明けのだらけきった表情と動きで俺の横に並ぶ。
「おう大石、元気か?」
「これが元気そうに見えるなら眼科行けよ」
聞くところによると大石が所属している野球部は、GWだからって怠けるな、こういうときだからこそ練習するんだ!という大石曰く、監督による余計な一言でGW休みもへったくれもなく、昨日、つまり最終日しか休みをもらえなかったらしい。
朝8時から練習を開始して午後7時に終了。
いつもよりのハードスケジュールにより、心身膠着状態に陥っていると見える。
「なんかもう休み明けって感じがしないな。いいよなぁお前は。」
「まぁそういうな。過ぎ去ったことを悔やんでても先に進めないのさ。こういうときは、練習のおかげでまた一段とうまくなったと思えばいいんだよ」
「おぉ、そういえばそうだな・・・ってごまかせると思ってるか?」
ちっ、ごまかせなかった。
何度も繰り返される大石の言葉に適当に相槌を打ちながら歩いていると、俺たちの学校。
東京都立我楼(がろう)高等学校が見えてきた。

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