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きみのぼく ぼくのきみ

[578]  夏基  2007-10-07投稿
ガヤガヤ……
ポーン…
「只今より○○○行きの搭乗時間となります。搭乗口までお集まり下さい」
…ガヤガヤ……
ドサッ!!
重いバッグを降ろし一服する
ぼく。萩本 晶(はぎもと あきら)25歳のフリーカメラマン。長きに渡る出張から開放されやっとの日本帰国だ。
「浩樹まだ着いてねーのかな。」
武田 浩樹(たけだ こうき)
25歳。翻訳の仕事をしながら英語塾の経営者。ぼくにとって、なくせない大事な友達。
「あきら〜〜!」横を向くと背が高めのスラッとした浩樹が手を振っていた。
「久しぶり〜!いつも送迎さんきゅ!」
「本当だよ!金取るぞ!」
浩樹が笑いながら答える。
「晶、今日うちに泊まるのか?」
「もち!飲み明かそうぜ〜!」
ぼく達は久しぶりに逢うと必ず飲み明かす。
そして酒も回った所でぼく達は抱き合った。強く強く。苦痛と隣り合わせ。だけどきみがいるだけでぼくは幸せ…。
気持ちなんかいらない。口に出して言わない。だけど時々…。
「…彼女出来た?」
小さな不安、嫉妬。
きみは答える。
「出来ないよ。晶がいるんだから。」
心の中で何度も感謝する。
朝。先に起きるのは必ずぼく。
きみの髪をなでる。
彼女出来た?と必ず聞くきみ。
ぼくの気持ちを分からないの?
忙しいけど早くきみに逢いたくて迎えに行くんだよ…きみを見てあふれ出しそうな想い。もう爆発しそうだよ。言ってもいい?言ったら前に進むのかな。
「…はよっす…」寝ぼけ顔のきみ。「おはよう。コーヒー飲むか?晶はブラックだろ?」「…今日は甘めで…」
分かってる。
きみが甘いコーヒーを飲む時はうれしい時。


進みたいよ…。ぼくのきみになってよ。

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