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偽マッチ売りの少女

[916]  すてねこ  2007-10-10投稿
夜道を女の子が歩いていた。服はボロボロ髪はボサボサ、おまけに靴も履いていない。いかにも寒そう。手にはマッチがたくさん入ったカゴを持っている。また今日も一箱も売れなかった。このまま帰ったら、またお父さんにぶたれてしまう。女の子は帰るに帰れなくて寒い夜道を歩いていた。
道をいく女の子にふと、一軒の家の窓が目に止まった。暖かそうに燃える暖炉、テーブルの上のおいしそうなご馳走、幸せそうに笑う家族。それを見て女の子はつぶやいた。
「いいなぁ…。どうしてわたしはこうなんだろう…?」
女の子の家には暖炉もなく、パンのひとかけらもありません。しかも待っているのは怖い怖いお父さん。この差は一体なんなんだと女の子は思いました。そんなことを考えて立ち止まっていると体が冷えてきました。そこで女の子は「そうだ、一本だけ…」と言ってマッチを擦ったのです。シュッと音を立てて赤々と燃えるマッチ。女の子の冷えきった手を暖めます。
「ああ、あったかぁい…。あっ、消えちゃう!」
マッチはあっという間に燃え尽きてしまいました。女の子は「もう一本だけ…」と言ってマッチを擦ります。またすぐに燃え尽きるマッチ。「…もう一本…」とマッチを擦る女の子。やはりマッチはすぐに消えてしまいます。
「ダメ、すぐに消えちゃう…。何か、何か燃えるもの…」
女の子は辺りをキョロキョロ見渡して、一体何を思ったのか、シュッとマッチを擦ると目の前の家に火をつけたのです。
「あったかぁい…」とつぶやく女の子の前で燃える家。炎の向こうには暖炉やご馳走、その家の家族が見えます。恍惚とした表情で炎は見つめる女の子。すると、女の子の前に死んだはずのお祖母さんが現れました。お祖母さんが女の子の手を優しく取ると、二人はそのまま天に昇っていきました。
朝になり、女の子の焼死体が発見されました。女の子は自ら放った火が体に燃え移り、そのまま焼け死んでしまったのです。

教訓。放火はダメ。

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