携帯小説!(スマートフォン版)

トップページ >> SF >> 〜Stliker〜哀編(95)

〜Stliker〜哀編(95)

[423]  焼き魚  2007-11-02投稿
某月某日、市街地郊外の丘の上のファミリーレストラン。
市街を一望出来る窓際の席で桜井結奈はクリームソーダを啜っていた。
時刻は午後3時を過ぎていた。

結奈(遅い…)

結奈はこれから来る人物に対して相当の苛立ちを覚えていた。
すると自動ドアが開き、結奈の席に向かう一人の人物がいた。
結奈はその人物を見つけるとその矛を振りかざした。

結奈「いったい何分待たせたら気が済むんですか。龍雅」

結奈の視線の先にはフォーマルな装いの龍雅が立っていた。

龍雅「心外だな?俺は定刻通りに来た」

龍雅は店員にジンジャーエールを頼むとそのまま席に着いた。

龍雅「綾香はどうした?」

龍雅の何気ない質問に綾香は膨れっ面を緩め、俯いた。
龍雅はその仕草をみるなり口を開こうとした結奈を制止した。

龍雅「分かった…。何も言うな」

結奈は再び顔を上げた。

結奈「あいつ、見つかった?」

龍雅はゆっくりと首を横に振った。

龍雅「すまない、あれから何一つ掴んでいない。組織の概要は解りつつあるもののその中のメンバーの情報については白紙に近い状況だ」

しばらくその場を重苦しい空気と沈黙が支配した後、龍雅は搾り出すに言葉を続けた。

龍雅「一つだけ…、今あいつの置かれている状況について分かることがある。奴は恐らく人体改造を既に施された可能性が あって…」

次の瞬間、龍雅の顔面に結奈の鉄拳が飛んで来た。
結奈の予想外の行動に対する動揺と拳の衝撃で龍雅は窓の淵に頭をぶつけた。

結奈「…何…やってんのよ…あんた…。あれから二ヶ月も経つのに何の成果もないの!!!!?何のために!!!どうしてあんたに頼んだのかそんなことも解らないの!!!???」

結奈は店を飛び出した。
龍雅は起き上がるとジンジャーエールを啜った。

龍雅(友人を思う気持ち…、俺にも分かるさ)

龍雅は自らの力の無力さに歯痒い思いを抱く他、無かった。

一方、店を飛び出した結奈も自らの行動に後悔の念を抱きながらの帰路に着いていた。

結奈(あいつを殴ったところで帰ってくるわけじゃないのに…)

この時、結奈は自らをつける集団の存在にはまだ気付いていなかった。


感想

感想はありません。

「 焼き魚 」の携帯小説

SFの新着携帯小説

利用規約 - サイトマップ - 運営団体
© TagajoTown 管理人のメールアドレス