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航宙機動部隊前史・21

[463]  まっかつ  2007-11-20投稿
ユニバーサリズムは猛威を振るった。
それは実に合理的・科学的・創造的な思考体型で、これを母体に、あらゆる分野に渡る革新が展開されたのは歴史が証明している。
特に金融・情報面では各国・勢力の枠をぶち破って、大統合と開放が一気に成し遂げられた。
その産物が前者では資本・人材の集中と言う発想であり、このお陰で必要な科学技術やインフラの発展や整備に明確な優先順位が与えられ、今までと比べて開発期間や無駄な浪費が驚く程少なくなった。
後者では全てのネットが統一されてネット集合体《アセンブリィ=ネッツ》が誕生した。
銀河元号六四四年・航宙遊牧民族勢力は、まず自分達の情報通信産業を一体化して恒星間コングロマリット《コイネー》にまとめ上げ、更に宙際連合側の規格を採用すると言う離れ業を演じて、逆に彼等の側との企業同盟を実現し、《アルファー》と言う情報企業連合を創り上げる事によって、僅か二0年間で絶対に不可能とされた偉業を見事に果たした。

これによって、少なく共情報通信では、一つの規格・一つの言語・一つの単位が支配する体制が成立し、宇宙文明は言わば共通の意思を持ち始めたのだ。
ネット集合体では、地球時代末期の英語が支配言語とされ、宇宙時代の《ラテン語》と称されるに至る。
少なく共、人類が及ぶ限りの宇宙では、その端から端まで一つの言語だけであらゆる情報交換が出来る―この威力は資本や人材の集中投入の比ではなかった。

宙際連合側は憎しみを込めて、この流れを《情報帝国・バーチャルファッショ》等と呼んだ。
だが、航宙遊牧民族の提唱するユニバーサリズムには、大きな問題点もあった。
航宙遊牧民族は人も資源と見なし、だからこそ新参者も等しく受け入れ、又、手厚くもてなしたが、反面、非効率・非合理・伝統性と言った物には冷淡を極めた。
傘下に収めた有人惑星では、開発しても余り得にならないと判断すれば、そこにある資源や財産を全て動産に変えて、生活する住民に宇宙船と共に与えて自分達と同化させようとするのが常だった。
人間も資源も資本も情報も加速させながら流動させる―定住化は彼等からすれば明らかに《ムダ》だった。
変化を好まない国には外交・軍事的圧力を掛け、次々と門戸を開かせた。
又、既存のあらゆる権威にも、明確な根拠が無ければ存続を許さなかった。

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