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いい加減にしてくれ!チャイナタウン編

[632]  たかし  2007-12-08投稿
【誠一探偵事務所】

小汚ない貸ビルの一室。
コンクリートを打ちっぱなしの造りの壁と天井、
ゴールドメッキが剥げたテーブルと古い黒い革製のソファーが一つ。
ピッ...

留守電を再生する。

中年の女
〈秀太郎が、家出したのか、駆け落ちしたのかわからないんですけど
探してくれないかしら、…………秀太郎はシャムの三歳なんですけど、可愛くて可愛くて………〉

ピッ
アパート管理会社の男

〈先々月から家賃の支払いがありませんが……〉ピッ 

P&M社会長 高野恵蔵
久し振りに一杯やらんかね?..
テーブルに置いておいたので、一応目を通してくれたまえ。〉

大都会

疾走するサイドカー。

十階建てのビル・表\r

正面のプレートに大仰な金文字

【株式会社P&M】

同ビル地下駐車場

サイドカーを降りる一人の男。通用口に向う。

一人のいかつい男が寄ってくる。

「お客さん。一般の方は受付通してください。」
振向き様にその男は、掛けていたサングラスを外した。
「あっ!失礼しました、どうぞ」





【10階 】


 部屋のドアを開けると西洋美術館のロビーを思わせる無機質な広い空間。

奥のマホガニーの机に背を向け、窓の外を眺めている女。
栗色の髪をしたその女は、透き通る様な白い肌をしている。

誠一の顔を見るなり別の部屋へいってしまった。
隅に、珍酒名酒の並んだバー。
重厚なカウンターの傍に、いつの間にか男が立っている。
高野恵蔵

百年も前から同じ姿勢でいるのか如く動きは殆どないが
表情と語り口は極めて動物的な生臭さがある。


恵蔵 「元気か」

誠一 「昨日、悪い夢をみた」

恵蔵 「食えてるのか」
誠一 「………」

恵蔵 「これ」

と無造作に分厚い封筒を投げる。

誠一 「断りにきたんだ..ひどい仕事が二度も続いた、他にまわせ」

扉に向う。


つづく

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