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水溜まりに手をふる男(第5章)

[434]  ポロンチョ牡丹  2007-12-10投稿
「ちょっ??ちょっと待って下さい。

どうしてもわかりません。…何なんですか、涙の溜め池って…。。」

「知りたいかい?…。

知りたきゃ、……

ついといで。。」

そう言って婆ちゃんは、背中を向けてゆっくりゆっくり、歩き始めたんです。

(ついて行ったはいいけど…、帰ってこれるのか?)
婆ちゃんは振り返ることなく歩いてゆきます。

ただ知りたい、という気持ちが体を動かしたのだと思います。
僕は婆ちゃんの後を追いかけたんです。

唐突にも、こんな体験をしてしまった僕は、そのまま婆ちゃんについていく事にしたんです。

大量に涙を流したせいか、心がスッキリしていました…。

これは夢ではなく、現実に起こった事なのです…。

(あれ?こんな場所あったっけ…。。)

いつもの見慣れた道なのですが、なんだか新鮮に見えてくる。
今まで目にもとまらなかったものに、目がゆきます。

横では婆ちゃんがテクテクテクテク…。

見慣れた道を歩いてゆくにしたがって、だんだん道に霧の様なものがかかってきました。

空には、さっきまで真っ白に光って見えた月が、真っ赤に光って見えます。。

霧はどんどん濃さを増し、月も見えなくなった頃…。

(あれ??。こんな道……あったっけ。。)

いつもなら坂があったはずの目の前には、ただ平坦な道しかなく。
坂がどこへやら消えていたのです。

考えいる間にも霧はどんどん濃くなり、婆ちゃんの隣から外れた途端、どこをどう歩いているのかさえわからなくなりました。

今さら後戻りはできそうにありません…。

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