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水溜まりに手をふる男(第9章)

[420]  ポロンチョ牡丹  2007-12-10投稿
今僕自身が考えきれる過去…、それ以上の全ての記憶が、曲のように流され続けました。。

まさに全てが、そこにはあったんです。

生まれてくる前から今にいたるまで…、僕の全ての記憶が流されて。

もっていたはずの悩みが溶けるようになくなりました。

いや、今まで思い悩んでいた僕の世界、悩んで思い出しきれる過去なんて、とても小さくて…

なんだそんなものかと言ってしまえば終わりなのですが。
そんなのも全てひっくるめて、僕の過去だと受け入れざるえませんでした。

そうなんです。

過去を受け入れて生きていく事なんて…
簡単なことだったんです。

それは今の自分を受け入れて好きになること。

たったそれだけの事だったのだと、気づかされました。

たくさん湧き出た大粒の涙…、その分だけ感謝の念が溢れてくるようです。

相変わらず婆ちゃんはテクテクテクテク……

横目でチロッチロッと僕を見ながら歩いています。

(そういえばさっき…、下を見た時、上を見上げて僕が僕に手をふってきてたなぁ…。)

思い返したように上を見上げると。

いました。
僕です。

驚いた様子で下を見ている自分の姿がはっきり見えます。

(そういうことかぁ…!)

なるほど上に見えるのは過去の自分で、下に見えるのは未来の自分。

上も下もないとばかり思っていたのですが。

上と下…過去と未来に分けられていたのです。
今現在の僕からすれば、上に見える自分は過去の自分の姿で。

過去の自分からすれば、下に見えている今の僕が未来の自分なわけです。

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