ロイの皮肉たっぷりの歓迎にシェイルは憤慨していた。
龍雅はそんなシェイルを制止し、早速話を切り出した。

龍雅「やはり、政府も事態を重く見ているんだな？」

ロイは俯き様にため息をついた。

ロイ「僕を出向先から本部へ戻すくらいだ。人手不足の上にこんな事件が起きるようでは猫の手でも借りたい思いなのだろう」

ロイは近くのコンソールからあるデータを呼び出し、大型モニターに展開した。

ロイ「これは昨日ＢＺ市で起こった連続少年殺傷事件の現場を偶然目撃した近所の住民が撮影したものだ」

龍雅はそのモニターに写っている青髪の男に注目した。

龍雅「？！ハーツ！！」

ロイ「この男は今、軍が全力で追跡している者の一人だ。あらゆる戸籍データバンクに照合してもヒットなしの謎が多い人物だよ」

シェイル「こいつも…革命教団の人間…幹部クラスなのかな？」

ロイはシェイルの視界を遮るように前に出て、モニターのスイッチを切った。
そしてシェイルに話しかけた。

ロイ「貴様の名前と所属を聞かせて貰おうか？」

シェイルはロイのとった行動に眉を少しだけ潜めた。

シェイル「テクノアートインダストリー社の人事部長補佐、戸籍名椎名瑠美、本名シェイル＝パトリックです。よろしく」

ロイ「貴様は軍隊にあがるために戸籍を作った人間なのか…覚えておこう。僕の名前はロイ＝コリンズ、階級は大佐だ。今回の作戦部長をやらせて頂いている」

龍雅は間に割って入り、ロイに質問した。

龍雅「ところで、少年達を殺害したのはやはりハーツなのか」

ロイ「いや、違う」

ロイがスイッチを切り替えるとある人物の情報が巨大モニターに映し出された。
龍雅は映し出された人物の顔を見ると目を細めた。

ロイ「さっきの映像に一瞬だけではあるがこの男が映っていたのを確認している」

龍雅「そうか…この男とは面識がある」

ロイ「瀬崎隆也、17才高校生。5才の頃に父親は蒸発。以後は母元で育つ。今から約二ヶ月前に母親から捜索願いが警察に提出されている」

龍雅はロイに説明に複雑な思いを抱きながら耳を傾けていた。
ロイは何かを思い出したかのように龍雅に尋ねた。

ロイ「貴様…さっき面識があるとかいったよな？」

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