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MURASAME

[492]  あいじ  2007-12-11投稿
平将門?

周辺は既に悪鬼の巣窟なりつつある
帝都東京は暗黒に包まれ全ての機能を無に還されている。
どの家もビルも明かりや人の気配はなく、まるで廃虚のように静まり返っている。

そう

人々は知っているのだ。
かつて人間は暗闇の下、妖しのもののけ達ともに息を潜め生きていたと云うことを。
知識ではなく、本能で。それは脈々と受け継がれてきたのだ。

幸司は絶句した。
将門塚のある大手町は人の住めない魔界と化していた。全ての暗黒が塚から溢れだし、水虎や亡者たちがぞろぞろと塚かの前方に空いた『穴』から這い上がってくる。
「アレが入口だな…あそこに本体が…」
幸司は羅喉を握り直し、溢れだす水虎と亡者の群れへ疾風のように駆け出した。
「退けぇぇ!」
襲いかかる邪悪の群れをものともせず幸司は暗黒に染まった『穴』へと飛びこんだ。


一瞬の閃光と永遠の暗闇が幸司の瞳を通り抜け、全身の鈍い痛みが彼の覚醒を促した。
辺りは静まり返り四方八方何処を見ても暗闇が広がっている。
果てしない真黒が支配していた。
「地獄にでもきちまったかな…」
呟く幸司に白い花びらが舞い降りた。その白さは周囲の真黒には不釣り合いだった。
「桜…?」
巨大な桜の木。地上にも存在しないような太い樹木が幸司の前に現れその花を散らし続けている。狂気を帯びてるとも思えるその姿は暗闇よりも邪悪を印象付けていた。
(何故…我が眠りを妨げる…?)
幸司の頭に言葉が響く。
(何故…人は戦を繰り返すのか…何故…神を…呼ぶのか…)
「神…?」
(神…それは生命を持たぬ存在…我は神と戦い…そして敗れた。神は再び蘇る…その前に我が…この地上を…神を阻止…する)
「そんなわけ解んねぇようなら理屈で東京をぶっこわすってのか!?いい加減にしやがれ」
羅喉の刀身が砕け、光の刃が露出し一筋の流星のように伸びた。
「羅殺剣!!」


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