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人魚の箱

[602]  あいじ  2007-12-21投稿

私が見つけたモノ…
そりゃあ『女』で御座いますのよ
未だ少女のようなあどけなさを宿しておりましたが…なんというか不思議な色気を持っているといいますか…兎に角妖しい女であったんですわ…
私は一目でその女を気に入りましてね…聞きゃあ身寄りもねぇ…行く先もねぇってんで私が引き取ったんですわ…ところがその女…不思議なことに歩けなかったんですよ…足が無い訳じゃないんですが…仝してか私にもそれは解らなかった。
私は船員達に秘密で彼女を部屋に連れ、上海を後にしました。


「それで…?別に何も不思議なことはないじゃないか」
「まぁ旦那…話はこれからですわ…」


上海を発って一週間程のことでした。
船が妙な海域に入ってしまったのです。
其処は船乗りに『船の墓場』と呼ばれている所で風も吹かなきゃ波もこねぇ…成る程こりゃ本当に墓場だな…なんて楽天的だったのも最初だけで、一日二日と船員達の食料は無くなり皆ノイローゼのような状態になっちまったんですわ…。
食料は無いか
食料は無いか…
ってな具合で船員全員が船の部屋と云う部屋を調べ始めた。
やがて一人の船員が私の部屋に居たあの女を見つけだした。
「こいつだ…こいつのせいで俺達はこんな所にきちまったんだ」
船乗りの間では女を船に乗せてはいけないとされているのは旦那も知っていると思います…私はやっちゃあいけないことをやっていたってわけでさ
私は止めたんでさ…そんな事は迷信だ、とね。しかし相手は頭に血が昇ってたんでしょうな…あっという間に女を殺して海に投げこんじまったんですよ
すると不思議なことに突然風が吹いて船が進み始めた…みんな大喜びでしたがね…私だけはあの女の最後の顔が焼き付いて離れなかったんですよ…


《続》

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