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天の詩?

[519]  Joe  2007-12-25投稿
「黙ってついてくるなんて、らしくないな、坊や。」
土方はその男を親しみのある言葉で呼んだ。
「そうですか?らしくないのは土方さん達じゃありませんか。」
と言って先頭を歩きだした。
「何か面白そうな事するみたいだから、私も混ぜてもらいますよ。」
「お、おい、待て待て総司。」
と新八はその無邪気な笑顔の男をそう呼んだ。男の名は沖田 総司と言った。後の新撰組一番隊組長、神の剣技を持つ男で、事実局内でこの男にかなう者は誰一人いなかった。皆竹刀をとっては子供の様に扱われた。
「ええ?」
と笑顔のまま振り返る沖田の顔はそんなものは微塵も感じさせない。
「こいつぁ、いつものおふざけとはちぃと違うんだぞ。」
新八がそう言って聞かせている間、土方は冷静な目で沖田を見すえている。それを見て沖田が、言い表せないくらいの笑顔を作って言った。
「嫌だなぁ、土方さんまでそんな恐い顔をして。まぁいいじゃありませんか。」
と新八の引き止めもむなしくどんどん行ってしまう。
「ちっ、行っちまいやがった。」
全く
「あんたにだけと思ってたんだがなぁ。」
とぼりぼり頭をかいた。
「ともかく、ゆこう。」
「ああ。」
女を寝かせてある部屋が見える所までくると、左手の廊下を沖田が坊主に案内してもらっている。
部屋の障子の前までいき、手をかけてから、
「沖田いいか、こっから先はお遊びじゃねぇ、出方次第で、命を落とすかもしれねぇ。」
新八の以外な言葉に一瞬顔を崩したが、
「構いませんよ。」
と再び笑顔を作る沖田を土方が冷たく光る眼でちらりと見た。

と障子を全開にした。するとまた新八は全身をあの凍りつくような不安に襲われた。それは手足から、やがて頭へとぬけていく。それは、土方や沖田も同じらしかった。
新八と土方は引き付けられたように座ったが沖田は目を見開いたままつっ立っている。
それを土方が袖を引っ張り座らせた。
新八は沖田に例の話を聞かせた。
終わってから、両手をついて女の顔をまじまじと見ている。
「生きてるんでしょうか?」
沖田の問いに二人は首をかしげた。
「まるで人形の様だ。」

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