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天の詩?

[415]  Joe  2008-01-01投稿
そう言って少し顔を近づける沖田の顔に、土方の視線が刺さっている。この青年は、とっくに二十歳を迎えているというのに、異性にちっとも興味を示さない。
だから、この女を見た沖田の反応が不思議でならない。
その沖田の顔がぽっかりと口を開けた。
「ぁ・・・。」

と新八は土方の袖をひいた。視線を落とすと女の目がうっすらと開いている。
だんだんとまぶたが持ち上がり、じっと沖田を見つめた。
「・・・。」
あの
と女の口が動いた。女はまだ頭が働かないらしい、暫く沖田をみつめて、また、
あの
といった。
「・・・あの、ここは何処ですか?あなたは・・?」
女は目のやり場に困った。知らない男がじっと近くでみていたからだった。それも上から覗きこむように見ている。
女の言葉でようやく気がついて
「す、すみません。」
と、やや耳を赤くしながら引っ込んだ。
「い、いいえ。」
女の方も両頬をうっすらと赤くしながら起き上がった。辺りを見回す、知らない顔が三つ並んでいた。
「あの、あなた達は・・?」
三人が名乗ると女は困惑したように、口元に手をあて何やらぶつぶつ言っている。
三人は密かに視線を合わせた。
「ところで、あんたの名は?」
女は困惑したままの目を上げた。
「え?あの、私みきといいます。」
それで
「おみきさんよ、あんたあの男と知り合いなのかい?」

と小首をかしげた。そのとたん、目の前の風がぶれ、新八と土方の姿の消えた。背後でどす黒い殺気が渦巻いて、振り向くと奇妙な男が畳から上半身だけをだしていた。
「私の事だよ。」
男が手をかざすと、
ゴウ
と風がうなり、その風は男の腕にまとわりついて、部屋中の物を巻き上げていく。
男が、

と目を開くと、その風は様々な物と一緒にみきめがけて飛んできた。
「!!」
身構える暇もない。
ぶつかるっ
と思った瞬間、沖田がみきを抱えて横へすっ飛んだ。
「ッフフフフ、見つけたようだね。」
男は、奇妙に顔を引きつらせた。けたたましく笑い声を響かせながら、畳へにじむように消えていった。
「おい。」
すぐうしろで新八の声がした。
振り向くと土方はそっぽを向き、新八は鼻の頭をかいている。
二人は顔を合わせると赤くなって、
ぱっ
と離れた。
「まぁ、いいやな。それより、沖田ひょっとして。」
「ええ、でましたよ。それにしても凄い殺気でした、こう押し潰されるような。」

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