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106…… 2

[897]  よこま  2008-01-16投稿
何時からだろう…
そんな悪夢を見るようになったのは。




2年前。




その日のファイナルレースはあいにくの空模様だった。


「雨にならないといいけど…」

看護師の時田がポツリと呟いた。


「そうですね。」


心配そうに空を見上げているのは、上原蓮(うえはら れん)。

この春からサーキット場に勤務する事になった新人の救急救命士だ。



> バタン!


レーシングスーツの男性が 勢いよいドアを開けて入って来た。


神崎 蒼(かんざき あおい)。

今年 晴れて国内A級ライセンスを取得した若手ナンバーワン。

彼は 柳監督率いる テンリュウレーシングチームのルーキーだった。



「すいません!カットバンありますか!?」


蓮は、慌てている 蒼を前に 少し顔をしかめた。


「あの… 危ないので 静かにドアを開けて下さいね。」


「あ! すいません! すいません!」


頬を上気させて 何回も頭を下げる蒼の姿に苦笑した蓮。


「カットバンね。」

「はい…一枚…」

蒼は、済まなそうに人差し指を見せた。

「はい、これ。」


「すいません、助かりました!」


「あの…貼りましょうか?」


「あ、大丈夫です。」


「え?」


蓮は、不思議そうに彼を見つめた。


ちょっと困った顔をした蒼は 恥ずかしそうに、


「ジンクスなんです。」

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