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[422]  etc.  2008-01-19投稿
 「お嬢さん、顔色がよろしいようで」

 そこにいたのは紛れも無い外国人、マークである。

 今一度言うが彼は舌を巻くような英語を話しているのであって、日本語などという言語は話せない。

 これも耳に付けているヘンテコ機械のお陰である。

 「あなた一度眼科へ行ったほうがいいんじゃない? きっと色盲ね」

 「お気遣いありがとう」

 ジョークのつもりなのだろうが光には皮肉にしか聞こえなかった。

 「何の用? 私いまサンドイッチが食べたくて仕方がないんだけど」

 「外国に行くに当たってパスポートを”発行”して来た。 どうぞ」

 といって渡されたのは赤い日本のパスポート。

 「発行? 出来る訳無いじゃない。 私は今まで車の中にいたし、証明がないとすぐには作れないはずでしょ?」

 「ええ、その通りですよ。 普通に発行すればね。あなた映画を見ないんですか?」

 そう言い残しマークは去って行った。

 「映画………?」

 つまりは偽造である。

 「ち、ちょっと!!」



 言いたい事は山ほどあったが、光はふて腐れながらサンドイッチを食べ終えた。

 キャリーバックにもたれながら男子トイレの前に待たされていた光とJは周りからみればまるで無関係。

 「いやぁすまねぇ、相変わらず日本のトイレは清潔だな」

 満足そうな望を尻目にイライラを隠し切れない光。

 「さ、早くいきましょ」

 「まぁ、そう焦るなよ。 楽しい楽しい旅の始まりだぜ?」

 いい加減キレそうな光の肩にマークの大きな手が乗っかった。

 「必要なんだよ、こういう態度が。 わかっていると思うがここは既にターミナルの中だ。 つまりは絶対的な監視下にある。 俺達は飽くまでも観光客なんだよ」

 心の中で納得してしまった自分が光は憎かった。

 「そういうことだ。 あっち着いたら何したい?」

 無論、この態度も憎かった。

 仕切に時刻板が変わるのが何かと気になる。

 「ところで私達はどの便に乗るの?」

 光以外の一同が目を合わせ、口元を吊り上げた。

 「お嬢様、ご安心下さい。 特別にこちらをご用意させて頂きました。 空のオアシスへようこそ」

 望がお辞儀をした。

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