携帯小説!(スマートフォン版)

トップページ >> 恋愛 >> 私を葬る

私を葬る

[671]  tomio  2008-01-30投稿
 母の顔が思い出せない。
あたしの記憶は、ピントのボケた8ミリカメラだ。
でも声だけは、今もクリアーでサラウンドだ。
 ちぃちゃん、
いま、ちぃちゃんの
まわりにあるものはね、
いつか、ぜんぶきえちゃうんだよ。
あるひね、
かみさまがやってきてね、
ぜーんぶけしてしまうの。
うん、ほんとだよ
ママもパパもじーじもばーばもワンワンもオウチもみーんな。
だからさ、

そのオモチャはさ、
かわなくていいよね?

母が、嫌いだった。
物心つく、
少し前からたぶんずっと。
食卓で向かい合って味噌汁をすする母と、納豆をかきまぜる私の間には、シンドバッドが置き去りにされたそれよりもずっと深くて、険しくて、越えられない谷があった。

とにかく昨日までいろいろあって、
今日私は、母に殺された。

感想

感想はありません。

「 tomio 」の携帯小説

恋愛の新着携帯小説

利用規約 - サイトマップ - 運営団体
© TagajoTown 管理人のメールアドレス