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MURASAME最終章

[462]  あいじ  2008-01-31投稿
件?

幸司の記憶がフラッシュバックする。
長い間組んでいたあの懐かしい顔…背中を任せていたあの腕も…何より信頼していた友のことを全て
そして
原型なく破壊された友の最後を…

「ありえねぇ…!?」
幸司は叫んだ。
暗闇から現れたソレは確かに安藤天馬の姿をしている。唯一違いがあるとすれば、生まれたままの姿で眼鏡を掛けていない事と腰まであった髪を束ねていない事ぐらいである。それ以外全てが幸司の記憶と一致していた。
「バカな…天馬は死んだ筈だ!」
幸司の叫びが廃虚内に木霊する。それは恐怖でも怒りでもない、村雨幸司と云うただの人間の本能的な獣の雄叫びだった。
「本当に…天馬なのか?」
幸司の呼びかけに天馬は答えない。
「何とか言ってくれよ…頼む…」
天馬に近づこうとする幸司を竜助が片手を出して制した。
「先輩…天馬さんは死んでいます」
「分かってる…分かってんだよ…そんなことは…でも…」
躊躇する幸司をはねのけ竜助は清姫を組み立て天馬に向かって疾走した。その切っ先は暗闇を引き裂き、天馬の胸を流星のように一直線に突いた。
しかし、清姫の刃は虚しく空を舞った。
「なに!?」
天馬は影のように竜助の側面に現れ、清姫の柄を掴んだ。
信じられないことに掴まれた清姫の柄がまるで土のようにボロボロと崩れた。竜助は慌てて清姫の刃を引き抜き柄の部分を捨てた。
「この力…人間を土に変えたのもこいつの仕業だったのか!」
天馬はまるで機械のように残酷で無感情な瞳で幸司を捉えた。
「砂羽…ちょっと下がっててくれ…」
「幸司…アレ天馬だよ、どうするの?」
「決まってんだろ…」
砂羽の懇願するような声に幸司の言葉が刃のように云った。その顔が鬼神のように激しいものに変化する。
「あの馬鹿はまだ寝ぼけてるらしい…だったら俺が…俺がアイツの目を覚まさせてやるさ、いくぜ羅喉!」
幸司は羅喉を鞘から引き抜き天馬へその刃を振り下ろした。


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