携帯小説!(スマートフォン版)

トップページ >> コメディ >> 河童に会った話3

河童に会った話3

[532]  すてねこ  2008-02-11投稿
 河童はじっと座っているだけだった。何をしているのだろうと思って様子を見ていると、若干前かがみになっているように見えた。あれはもしかしたら甲羅干しをしているのかもしれない。亀のそれとよく似ている。河童は数分間もそうしていたかと思うと突然立ち上がり、おもむろに川の中に手を突っ込んだ。河童が川から手を出すと、そこには胡瓜の載ったザルが掴まれていた。川で胡瓜を冷やしていたらしい。
 河童は取り出した胡瓜をバリバリとかじり始めた。その姿を見て僕は、「河童って本当に胡瓜食べるんだ」などと妙な感心をしていた。あいかわらず河童の存在そのものには、特別疑問も何も感じてはいなかった。本当にどうかしていたとしか思えない。

 三本ほど胡瓜を食べた河童は、立ち上がってザルを川の中に戻すとじっと僕の目を見つめ、そっと立て看板を指差して静かに川の中へと戻っていった。

 それから程なくして老人が小走りに戻ってきた。
「いや〜、オニイチャンごめんねぇ遅くなっちゃって。家帰ったらカアチャンが昼飯作っててさぁ。食べてきちゃったよ」
「いや、構いませんよ。どうせ暇でしたから」
「いやいや、ホント悪いね。ところで釣れた?」

 僕は餌の無くなった釣り針を見せた。

「全然ダメですね。ピクリともきませんでしたよ。今日はやめておいた方がいいんじゃないですか?それにほら、よく見たら釣り禁止って書いてあるし」
「ダメかぁ…。じゃあ、今日は片付けて帰るか。オニイチャン助かったよ、ありがとね!」
「それじゃ、これで失礼します」

 僕は老人に竿を渡して家に帰った。

感想

感想はありません。

「 すてねこ 」の携帯小説

コメディの新着携帯小説

利用規約 - サイトマップ - 運営団体
© TagajoTown 管理人のメールアドレス