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夢の想い(8)

[426]  けん  2008-03-21投稿
此葉のリュックから箱を取り出し狐文に渡す。
(ふむ、禁呪かかかっておるようじゃの。解呪は苦手なんじゃが…)
そう言うと狐文は箱を額にかざし何やらぶつぶつ唱え始める。
(…………、………。)
すると箱は狐文の手の上で霧散するかのように消えていった。
手の平に残ったものは…
「紐と…、勾玉?」
紐というより釣り糸のようなものと手の平サイズの勾玉らしきものが2つ。
そのどちらもうっすらと銀色に光り輝いてる。
(ふうっ、やれば出来るものじゃな。)
狐文はおもむろに二品を握ると紐を此葉に、勾玉を洋介に渡した。
(この紐は九尾狐様の毛で編まれた物で狐弦糸(こげんし)と言う、大体女性に力を分ける時に渡すもので弓に使っていた紐じゃ。そしてこちらは牙で狐響牙(こきょうが)と言って短刀や槍に使ったりする武器じゃ。二人共これを持って意識を集中してみるがよい。)
言われるまま洋介は勾玉を手に持ち、此葉は紐をくわえて集中してみる…
「何もならないな…」
二人共変化がない…。
(おかしいのう…、反応せんとは…)
狐文は首を傾げる。
此葉はまだ集中しているが…何も起こらない。
「俺らじゃないんじゃ…っと」
洋介の手から牙が転がり落ちた…、此葉の頭に…
「痛っ!」
その瞬間…、牙の一本が此葉の頭に吸い込まれた。
(なんと…?)
狐文は素っ頓狂な声を上げる、
と同時に…
「痛っ!いふぁい(痛い)!いふぁい!いふぁい!」
紐をくわえたまま声にならない奇声を上げる。
(ううむ…狐響牙は此葉の方じゃったか…)
「い…いひゃ(痛)かった…ってふぇ?」
此葉の口には片方だけ牙が生えていた…。
(ふむ…そういうことか。まさか女子を牙が選ぶとは…、どれもう一つの狐響牙も…)
「ちょっ…!?待って!ホントに痛いんだって…いひゃ!いひゃい〜!」
此葉の訴えも終わるまにあっさりともう一つの牙も同化していく…。
……………。
「オニ!アクマ!二人とも最悪!」
(さて、次は洋介じゃの〜)
涙目で訴える此葉を無視して狐文は満面の笑みで洋介を見る。
「あ〜っ…俺はもう起きないと…」
後退りする洋介…
「逃がすかっ!」
此葉に飛び付かれ尻餅を付いたと同時に紐を頭に乗せられた。
「うわっ!?…痒い!痒い!」
頭を掻きながら転がり回る洋介だった…。

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