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夢の想い(14)

[383]  けん  2008-03-26投稿
踏み入れた瞬間洋介と此葉は背筋をぞわりと伝うかのような違和感に襲われる。
「う…なんか嫌な感覚だな…」
「気持ち悪いね…」
此葉は思わず身をすくませる。
辺りには不快な臭いが漂う。
(死臭じゃな…。…二人とも気をしっかり持て、相手は獏じゃ。やつは夢を吸いその夢を吐き出して襲ってくるのじゃ。)
言い終わると同時に地面が蠢き始める。
そして現れたものは映画やゲームでよく目にするやつだ。
「うぇ…ゾンビかよ…」
「き…キショイよ…」
(夢を吐き出すというのは現実にすることじゃ…気をつけるのじゃ、やられれば痛いしもちろん死ぬぞ!)
そういいながらも狐文は目を閉じ胸の前で手を合わせ念じている。
そして青白い焔に手が包まれた時…!
(四柱断界の法!)
紫色の瞳を見開き狐文は叫ぶ!
両手から放れた青白い焔は広場の四隅に燃え盛る火柱となる。
(これでこの場所は一般の世界からは認識されん。外に影響も出ぬから思い切って戦うのじゃ!)
「戦うって言っても…どうするのよ〜」
「あんなグロいの素手で殴れってかよ!?」
(何を言っておる!そのために九尾狐様の尾を渡したであろう!心で聞いてみよ!)
「念じるって…」
「ちっ…」
二人は心の中で呼びかけてみる。
「(紐!おい紐!今の状況なんとか出来るんだろ?応えろよ)」
「(紐ッテ…ウチニハ狐弦糸ッテ名前アルッチュウネン)」
「(んなこたどうでもいい!戦えるんだろ?何とかしろよ!)」
「(…嫌ヤ)」
「(嫌って…俺が死んだらてめぇも困るんだろうが!?)」
「(何処ノ阿保ゥカシラン生意気ナ餓鬼ニ言ワレテハイソーデスカ言ウワケナイヤロ!?チョット待ットケ!出テッテドツイタル!)」
「(何なんだ訳わかんねえ喋り方しやがって!)」
洋介の目の前に光りの渦が現れる…。
「あんた…名前は?」
「あぁ?洋介だよ!」
「…………。」
「なんだよ…?ってうお?危ねぇ」
とりあえず近付いていたゾンビを蹴り飛ばす。
「うちと付き合え!」
唐突に意味不明な事をいいながら洋介の顔面にしがみつく。
渦から飛び出た姿は狐耳に尻尾の生えた小人サイズの人間そっくりの姿だった。
「あんた好みや!かわいいわー!絶対守ってやるで〜」
そういって洋介に溶けるかのように入っていくと洋介の身体が変化し始める…。

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