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Forgot

[432]  黒和  2008-03-28投稿
約10年前


暗い病室に家族が集まっている。
彼が来たときには
母親はすでに目の前のベットから、天国へと旅立った後だった。
 
涙が止まらない。止められなかったのだ。
ただ、悲しくて
  ただ、悲しくて

溢れる気持ちを、止められなかったのだ。彼の母は一週間も意識がなかったのだ。本当に、眠っているように見えた。
 
なぜ、私の母でなくてはならないのだ。
なぜ、死ななくてはいけなかったのだ。
 
後に彼は知った。母親は乳ガンだったのだ。
なんて事はない。日本人の最大の死亡理由が当てはまっただけ。
 
しかし、幼い彼はそんな事は知らない。
ただ ただ、泣き続けた

彼の母は最期の一週間、意識がなかった。
「きっと良くなる」という医者の言葉を無邪気に信じ、
彼は母親の目覚めを待っていた。
ついに、その時は来なかったのだが。
 
 
別れも告げられずに
母親は去って行った
 
 
当時、彼は9歳
寒くて暗い病室での出来事だった。

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