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処刑生徒会長第五話・25

[574]  まっかつ  2008-04-15投稿
殺すとは―\r

誰を?

いや―\r

口に出さなくても答えは99%出ている。

それは―\r

『梅城会長を―です』

焦点のぐらつく太田カツヒロの瞳に向けて、エウフセラ=ナールマンはためらいもなく言い放った。

『ば―馬鹿言ってんじゃねえよ』

ガチャリ-

パニックにかられた手から熱線銃の入ったケースが絨毯に落ちて鈍い音をたてた。

『無理に決まってるだろ!?相手を誰だと思ってんだ!!』

太田カツヒロの蒼白な顔面は今まで以上の恐怖に引きつった。

だが―\r

『助かりたければ彼を殺しなさい』

副会長はそのケースを丁寧に拾い直し、会長卓に置いた。

『で―出来ないよ』

『殺しなさい』

『だから、出来ないって!!』

『殺すのです』

静かだが断固とした副会長の口調に、太田カツヒロは赤絨毯にへたりこんでしまった。

『よろしいですか?』

その哀れな姿に足音も立てずに近付いて、エウフセラ=ナールマンはしゃがみながら目線を合わせた。

『梅城会長の忠臣を演じなさい。そして自ら前線を志願するのです』

会長の真ん前にまで迫ったゴーグルはまたしても妖しい電子光を放ち―\r

『彼の信頼を得なさい。そして、我が校の生徒から犠牲を出すのです』

『ば―馬鹿な』

だが、悪魔のささやきは次第に会長の弱き心を捉え始める―\r

『その上で、梅城会長をお討ちなさい。我が校の犠牲者の仇を取り、彼の独裁を否定するのです』

『む―無理だ、無理無理』

脂汗の滝を赤絨毯に染み込ませながら、太田カツヒロは首をぐるんぐるん振り回したが―\r

彼の心は地獄からの誘惑を振り払い切れないままはまり始める―\r

『イジメ撲滅同盟も第三中学校も、所詮は梅城ケンヤの独裁体制。彼さえ撃てば一気に瓦解します』

『ほ―保証はないだろ?』

『勝算なら有ります―その上で貴方がリーダーになればよろしい。新たなる同盟の主として』

エウフセラ=ナールマンはゆっくりと立ち上がり―\r

太田カツヒロに手を差し出した。

それを握れば―\r

太田カツヒロはもう後には退けなくなる。

そう―\r

梅城ケンヤと同じ様に。

『まず梅城会長に2T学園を討ってもらいましょう―後顧の憂いが無くなれはそこで彼はもう用済み、葬り去るのです―我々の手で』

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