携帯小説!(スマートフォン版)

トップページ >> 恋愛 >> 奈央と出会えたから。<125>

奈央と出会えたから。<125>

[676]  麻呂  2008-04-15投稿
* * * * * *

公園から聖人の家に着くまでに、あたし達が通り過ぎた風景は―\r


所々色付き始め、少しずつ秋が深まりゆくのを感じさせた―\r




『秋の匂いがする。』



思わずあたしが呟く―\r



『秋の匂い?!』



聖人は不思議そうな顔をして、あたしを見つめた―\r



『そう。秋の匂い‥。聖人には分からない?』



あたしは聖人を見上げる―\r





『俺‥‥秋は嫌いだから。』



聖人は、またあの悲しそうな目をしていた―\r



聖人の時折、ふと見せるこの悲しそうな表情を見る度、



あたしは、何が聖人をそうさせているのか―\r



聖人の心底の更に深い所には、



もしかしたら何かあるのかもしれないって、



いつも気になっていたんだ―\r





『秋が嫌い?』



ただでさえ―\r



みんなの前では強がっていた聖人だから―\r



でもそれは―\r



あたしだって聖人と付き合う様になるまでは、思ってもいなかった事だし、



全く気が付かなかったコト―\r



だって聖人は決してみんなの前で、自分の弱さを見せなかったし―\r



“学校内で一番恐れられた存在”などと言われていたから―\r


だから―\r



聖人は、いつだって強いヤツだって―\r



いつだって、とんでもないワルだって―\r


そんな傍迷惑な噂―


流されてる聖人の気持ちも知らないで―\r


みんな好き勝手に楽しんで噂してた―\r



時には有りもしない作り話さえあった―\r




『おぅ‥。秋ってなんか寂しくね?!』


聖人は、ただのワルじゃない―\r



聖人は、スーパーマンでも何でもない―\r


『うん。何かちょっぴり物寂しくなっちゃうかな。』



本当は凄くシャイだし、凄く弱い部分も知っている―\r



心の部分だけじゃなく、



体だってそう―\r



生まれながらの心臓疾患を持っているし―\r



おまけにアレルギー体質で、喘息持ちなんだから―\r



聖人には、もっと自分を大切にしてほしいって、



あたしはいつも思っているのに―\r



あなたは全然分かってくれないけれど‥‥‥‥‥。

感想

感想はありません。

「 麻呂 」の携帯小説

恋愛の新着携帯小説

利用規約 - サイトマップ - 運営団体
© TagajoTown 管理人のメールアドレス