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奈央と出会えたから。<126>

[647]  麻呂  2008-04-15投稿
* * * * * *

『着いたぜ!!入れよ。汚ねぇ所だけどさ。』



そこは―\r



外観は普通の一軒家だった―\r



ちゃんと表札もかかっていたけど、



“北岡”ではなく、“斎藤”になっていた―\r



『あぁ、俺ん家さ、一階が大家さんで、二階が俺ん家なんだ。』



なんだ、そういうコトか―\r



大家さんが自分の息子さん夫婦と一緒に暮らすべく、二世帯住宅にしたらしいが、



息子さん夫婦が本州へ転勤になったので、空き部屋を聖人達に賃貸しているという事だ―\r



あたしは聖人の後について、玄関で靴を脱いだ―\r





『入れよ。』



3LDKのそこは―\r


息子さん夫婦の為に増築したばかりの様で、



凄く綺麗な部屋だった―\r



部屋を入って直ぐに気付いたのは―\r



木製のシンプルなリビングキャビネットの上にさり気なく置かれた、



フォトスタンドだった―\r





ちょっと古い写真―\r


その写真に写っていたのは―\r



若い男女と、その女性の手に抱かれた赤ちゃん―\r



写真の中の若い男女は、微笑んでこちらを見ている―\r



写真の女性は、かなりの和風美人で、



その女性の手に優しく抱かれた赤ちゃんも、



目鼻立ちのハッキリした、とても可愛いい赤ちゃんだった―\r




『おい。俺の部屋こっちだって。』



自分の部屋へ向かって歩きかけた聖人は、



写真に見とれているあたしを呼ぶべく、こちらを振り返った―\r





『あ‥聖人。ごめん。この写真に見とれちゃって。』



一瞬、聖人は黙りかけたが、



『それ、俺の両親と俺だよ。母さんは、もう大分昔に死んだけどな。

ま、そんな写真どうでもいいだろ。

さ、来いよ。』





えっ‥‥?!お母さん‥‥もう亡くなってるんだ‥‥。
あたし‥変な事言っちゃった‥‥‥。





あたしは―\r



聖人に言われるまま、ちょっと緊張しながら聖人の部屋に入った―\r

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