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Forgot-3

[393]  黒和  2008-04-21投稿
「あれから9年も経つのか。」
他人事のようにつぶやき、彼は線香に火をつけた。

彼は受験生になっていた。既に母親のことも、写真がなければ顔さえ思い出せない。
そんな自分に罪悪感を感じながらも、仏壇の前で手を合わせる。翌日にはテストがある。そのため彼は夜遅くまで勉強していた。
彼の偏差値はクラスで中の下。
現在の成績では、第一希望は難しいと言われている。

明日のテストはどうしても落とせないのだ。
夕飯を食べると、すぐに自室にこもり勉強をした。2階にのぼるとき、父が何か言いかけたが気にしない。

特に英語が難しい。
文型や綴りを覚えるのが彼は苦手だった。

午前3時くらいになってようやくペンを置き、風呂に入り床につく。
「人事を尽くして天命を待つ」とはよく言ったものだ。
人事を尽くせたかは分からないが、出来るだけのことはした。

それから30分ほど後に、きたるテストに不安を抱きつつ眠った。

もし、彼がこの後に起きる事態を知っていればどうしただろう?
いや、おそらく何も出来ない。

それでも、と、彼は後悔することになる。

これから彼の身に起きることを。

彼自身の行動を。

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