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奈央と出会えたから。<135>

[671]  麻呂  2008-04-23投稿
* * * * * *

『奈央。浴室は向こうだから、髪洗い流して来いよ。

俺ん家、シャンプードレッサーとかねぇからさ。

それと、ついでにシャワー浴びて来いよ。

ほら、これ‥着替え。俺のだから、ちょっとでけぇかもしれないけど。』



聖人は、あたしに自分のスウェットを手渡した。



『えっ?!/////』



『ば‥ばか!!何赤くなってんだよ。
変な事考えんなよな。』



聖人はそう言うと、あたしの髪を染めるのに使用した道具を片付け始めた。



『う‥ん。じゃあ、シャワーで髪洗い流して来るね。』



『タオルとか、そこに出しといたから。それ使えよ。』



『うん。ありがとう。』



―と言う訳で、あたしは浴室のシャワーを借りて、髪を洗い流した。


カラーリング剤が、髪を洗う時に跳ねたりするから、


聖人はシャワーを浴びて来いって言ったんだよね。


そんなの分かってるけど、


なんかドキドキした―。



シャワーを浴びながら―\r


あたしは、さっきの聖人の話を思いだしていた―\r



人間誰しも過去か、未来か、現在かの心の何処かに―\r


何か思う所があって―\r


それは人によって違っていて―\r


だからこそ、それはその人にとって“ただの悩み”などと、一言で済まされる様な事ではなく、とても重要な事であり―\r

ましてや他人に簡単に話せない事なら尚更であり―\r


ましてやそれを未来に持ち越そうとしているのなら―\r


いつか聞いた“これからの未来って、そんなに悪い事ばかりじゃないよね”って何処かの誰かが言ってた言葉が、やけにインチキっぽく思えたんだ―\r





あたしは浴室を出て、聖人から借りたタオルで髪と体を丁寧に拭いた―\r



そして―\r



聖人から借りたスウェットの上下を、その上から着込んだ―\r




かなり大きめの聖人のスウェットは―\r



とても柔らかな石鹸の香りと共に、



あたしの小さな体をすっぽりと包み込んだ―――\r

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