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僕は君の未来を永遠(トワ)に。?

[391]  麻呂  2008-04-27投稿
オーディションが進むにつれ、僕はある一つの疑問が脳裏に浮かんだ。



――このオーディションを受けようとしている人達は、このオーディションを一体何のオーディションだと思って応募したのだろう――



何故なら、現時点で七人のネタが披露されたが、その中で“お笑い芸人志望者”と納得出来る様な人材は、今の所見受けられなかったからだ。



トップバッターの女性の、ある人気アーティストの歌真似から始まり、



ドラマの中の数々の名シーンを物真似で再現する事にチャレンジした人、



イケメン俳優を目指す、ナルシスト役者志望の男性など――


この状況から、どういう考え方をすると、“このオーディションは、あくまでもお笑い芸人を発掘するオーディションなのだ”と把握する事が出来るのだろうか。



それにはかなりの困難を要する事だろう。



《このオーディションを“お笑い芸人発掘オーディション”だと言う事を忘れないでもらいたい。》


――なんて、“中年ノーネクタイ男”と“Tシャツにジーンズ姿の女の子”の心の声が聞こえてきそうだ。



気のせいか、“中年ノーネクタイ男”の表情が、なんだかさっきより険しくなった様な気さえする。


“Tシャツにジーンズ姿の女の子”は、表情一つ変えずに、ただひたすらとデジタルビデオカメラを構え続けている。



僕だったら―\r



僕が僕のとっておきのネタを披露さえすれば、今のこのなんとも言えない沈んだ空気を一瞬でかえられるのに。



後もう少しで僕の番が来る。



そして、僕はとっておきのネタを、今此処で披露する。



もしかしたら、その瞬間から僕はスターになれるかも?!



僕は、この自信が何処から来るのか分からなかった。



いつもの弱気な自分には考えられない程強気な発言をしている、心の中のもう一人の自分に、



何だか誇らしい様な、照れくさい様な、不思議な感覚に囚われていた。





『次‥9番の‥中山未來さんどうぞ。』


“中年ノーネクタイ男”が僕の名前を呼んだ。



やっと、待ちに待った僕の番が来たんだ。

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