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星の蒼さは 53

[513]  金太郎  2008-04-29投稿
乳白色の朝霧が辺りを覆い、濃い靄は太陽の光すら拒絶する。
あおかぜは現在“旧”ハワイ諸島周辺にある。

ハワイ諸島。

太陽兵器『The God Of Day』による被害は甚大で本島の殆どは消失しており、アスファルトにこびり付いた“元”人はその熱量の凄まじさを物語っているという。
米軍基地も例外ではなく、展開していた空、海軍は全滅の憂き目にあい、合衆国海軍は前述の通り、太平洋における制海権を喪失してしまった。

アメリカ合衆国を目指すあおかぜはこの朝霧の中を進む。



「嫌な霧だ」

荒木が呟く。

「異様に濃い靄ね。レーダーから目を離さないで」

「はーい」

オペレーターの美樹がこちらを見ずに返事をする。

「艦長。飛行するのは如何でしょう。この朝霧、索敵能力の低い単独編成では、危険です」

だが、出来るだけ早く日本から離れるため、全速力で飛行し、ステルス機能まで使用したあおかぜに、そんな余力はなかった。

「魔の海の真ん中で、月軍航空戦力に発見されたいなら話は別だがね」

WW隊の狩野京一隊長が、皮肉る。

「しかし!」

数日、味方はおろか、敵軍すら、見かけていない。
それはそれで不気味だが。

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