携帯小説!(スマートフォン版)

トップページ >> 恋愛 >> 奈央と出会えたから。<141>

奈央と出会えたから。<141>

[652]  麻呂  2008-05-02投稿
『聖人。あたし、今日はもう帰るね。』


テーブルの上のボックスティッシュに手を伸ばし、



あたしは、涙を拭いた―\r





『何?!だから何で泣いてんの?!』



聖人がさっきよりも少し強い口調で言った―\r



『泣いてないよ!!あたしコンタクト。しかもハードだし、おまけにドライアイ。あっ!!アレルギーもあるかな。』



とっさに思い付いた言葉が、すらすらと口から躍り出た―\r



ちょっと不自然過ぎたかな―\r



今の言い訳―\r



『そういや、奈央。目悪いもんな。

勉強のし過ぎじゃね?!俺見てみ。

勉強しねぇから、視力なまらいいぜ。

両目共に2.0。』



切れ長の奥二重の目をまん丸くさせて、聖人が言った―\r



『あはは。』



『笑うな!!
何がおかしい!!』


『だって、何の根拠もなく“勉強のし過ぎ”とか言うんだもん。』



『俺よか、はるかに成績いいじゃん。』


『そんな事ないよ。聖人が言う程、あたし成績良くないよ。
S校行けるかどうかも危ういもん。』



そんなに深く考えずに、



聖人との会話のキャッチボールをただ、


楽しんでいただけだったのに―\r





『じゃあ俺と一緒にH校行こうぜ。』



一緒に―――\r



『うん。』



この時のあたしは―\r


聖人に“一緒にH校へ行こう”と言われて―\r



ただそれだけの事に―\r



凄く嬉しさが込み上げて来た―\r



この時のあたし達二人は、



お互いの成績からH校に行けるレベルかどうかなんて事を、


全然、考えた事さえ無かったし―\r



ただ“二人で一緒の学校へ行きたいね”って、



そんな会話が出来た今日という日が、



あたしにとっては、とても幸せな一日となった事だけを、



今でも覚えているんだ‥‥‥。

感想

感想はありません。

「 麻呂 」の携帯小説

恋愛の新着携帯小説

利用規約 - サイトマップ - 運営団体
© TagajoTown 管理人のメールアドレス