携帯小説!(スマートフォン版)

ベンチ4

[699]  園子  2008-05-03投稿
彼女は言葉を詰まらせながらポツリポツリと今までの経緯を語ってくれた。
会社の部長にセクハラをされた事。お局さんがいて給湯室で洗い物をしてたらお湯を熱く設定してやけどした事。
そして、しまいには嫌がらせがエスカレートし、会社の同僚の女性社員全員でトイレに閉じ込められた事があった。
プライベートでも彼氏がいたが、裏切られたようだ。
そんな言葉を聞いてて俺は言葉を考えた。
何て言葉をかけて困っていると彼女の方から話をかけてくれた。
「ごめんなさい。こんな話をして…
でもあなたの曲を聞いて少しだけ前向きになりました。ありがとう。
いつもここで練習しているんですか?」俺はバンドの事を彼女に話をした。
「普段はもう一人ギターがいて、パーカッションの三人で活動しているんだ。
でも二人は他のアーティストさん手伝ったり、仕事とかしてて忙しくてさ。
ここで弾いてたり駅前の歩道橋で一人で歌ったりしてる。
もちろんライブも三人で月に三回くらいやらせてもらったりしてる…」
「良かったら…今度ライブのあるんだけど見に来ない?」とチケットを渡した。本当はファンの子にはチケット代をもらっていてこういうのはよくないんだけど、彼女とはこの出会いを終わらせたくないという気持ちがあったからだ。
彼女は「ありがとう。必ず見に行きます。」と言ってくれた。
俺は腕時計を見た。すると23時すぎていた。
「もう遅いし帰ってゆっくり寝たら?」「うん。ありがとう。私あなたのおかげで決断できた。
会社やめて転職する。ありがとう。じゃあ頑張ってください。お休みなさい。」と言って笑顔でおじぎをして帰った。
俺はしばらく彼女の後ろ姿を見た。
そう言えば…彼女の名前聞くのを忘れてしまった。
でも公園を出て、右に曲がって三軒目くらいの家に入る所を見た。
俺はギターを片付けてその子の家に言った。
名前の標札に中野と書いてあった。
そしてご両親の名前があってお兄さんのような名前があってその次に園子と書いてあった。
中野園子…園子ちゃんっていうんだ。
園子ちゃんの家を少し眺め家に帰った。
家に帰るとおかんが俺に話かけてきた。俺は何かにやついてたらしい。
それをおかんは見抜いてたようで「今度のライブのチケット売れたの?それとも公園で何か一目惚れした女の子でもいた?」
鋭い。だてに26年間俺のこと見てないな。って思った。

感想

感想はありません。

「 園子 」の携帯小説

公募投稿作品の新着携帯小説

利用規約 - サイトマップ - 運営団体
© TagajoTown 管理人のメールアドレス