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Mind Adventure 21

[442]  籬 規那  2008-05-06投稿

「さすが、せっかく町に来たのに、本ばっかり読んでただけあるわね。」

突然入ってきたフィレーネの声に、妖需は照れたように、少し困った顔をした。

「でも、私達、少し痺れたわよ?」

そうだ。ディルが駆け付けた時、4人は軽く筋肉が硬直してしまっており、ろくに動けなかった。


妖需は平然と応対する。

「そりゃあ、小さい抜け道はいくらでもあるよ?だから、メシアに護ってもらったの。」

「一度フィレーネに洗ってもらったけど甲板に塩は残ってたしね。」

なるほど。2人して納得してしまった。



思えば港に来るまでも、妖需は
窮地に陥る度に仲間達に的確に指示を飛ばしていた。


今のだって、決して力で負かした訳でなく、天候の悪化と見せかけて、魔物達に帰る事を促したのだ。




例え何処に居ようと、このピスティアでは、魔物の被害を受ける。

だから当然、そこで生きる人々は、ある程度の戦闘能力を持っている。

つまり。

玄人と素人の間にあるのは、それとは違う差だということで。


半端に殺しをして、あのような、種族がまちまちの魔物達を全て敵に回せば、海に近付く度に付け狙われてしまうだろう。


きっと、妖需もジンも、そこまで見越して動いていた。

今海を見渡しても、生き物の死骸は、何一つ浮かんでいない。



フィレーネに心があるように、その血の半分を持つ魔物にも、きっと心はあって。


恋人や家族が殺されれば、当然悲しむのだろう。

その証拠に、同種族の魔物の群れのうち一匹を仕留めると、たちまち残りにタコ殴りにされる。






考えた事も、無かった。

その事に、今になって初めて気付いた。










青一色の世界に、黒い物がぼんやりと映りだす。






遠い何処かを見つめる君は


君の強い瞳は


何を映すんだろう



少し考えて

すぐに諦めた

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