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緑の丘 (8)

[386]  レオン  2008-05-15投稿
英語の授業
退屈な時間の中で、私は急に吐気を覚えた。

急いで教室を飛び出す。

背中の方で、英文を読み上げていた先生の声が止んで、ざわつく音がする。


トイレへ駆け込むと、私は咳き込んだ。


しばらくして落着くと、トイレの個室の中で、私は嫌な疑惑が浮んだ…。

「千恵美?大丈夫!?」

ドア越しに友紀子の声がする。

「うん。大丈夫。」

私は個室から出て、平然を装った。

「ちょっと最近風邪っぽくて」
「そっか。保健室行く?」

「ううん。もう平気だから。」


最近ずっと、体調が悪かった。妙にほてって、体が怠い。

それに、
もう生理が2ヵ月ない…。


まさか…。


何て思ってたけど、多分そうだ。


教室に戻ると、先生や友達が心配そうに私を見た。

その目線が、何だか嫌だった。


学校の帰り、今日は晃司と会う約束だったけど、会えないとメールを入れて、私は薬局へ向った。


他人の目線を気にしながら、私は妊娠検査薬の箱を手に取った。

私の挙動が余程怪しかったのだろう。

薬局の店員が何度も遠くから監視しているのが分かった。
「万引きなんてしないよ…」


公園の公衆トイレへ入り、私は検査薬を使った。

心の中で何度も、「陰性であって」と願った。

箱の裏側には、"ピンク色の線が出たら陽性"と説明書きが書いてある。


目を閉じて、深呼吸をして、線がブルーである事を願って、検査薬に目をやった。




『ピンク』



妊娠。


相手はあの時の男。



私はその場に崩れ落ちて、汚い床に座り込んだ。

頭が真っ白で、思考回路が止った。


「どうしよう…。」


公衆トイレにおばちゃんが入って来て、床に座り込んだ私に声をかけてきた。

「お姉さん、大丈夫?」

「いえ…。」


大丈夫なんかじゃない…。

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