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Mind Adventure 23

[405]  籬 規那  2008-05-16投稿

あのあと、止めに入った妖需は突き飛ばされ、ジンが男性に何事か囁くと、男性が逃げていく形となって、事態は収拾を得た。

ディルはというと、フィレーネとジンに脇を固められながら歩いている。



随分と苛立った様子だったけれど、一体どうしたんだろう。


ディルは、怒りっぽい人ではあるけれど、意味もなく怒ったりすることなんて無い。

からかわれて大きな声を出したり、人を小突く事はあるけれど、こんな様子は初めてだ。



「ディル……大丈…」

「……………ぅるさい…」


心配になって声をかけると、掠れた、力無い言葉が帰ってきた。



どうしよう。
フィレーネも体調が悪そうなのに、政府もあんな風では、安心できない。

気がつけば、妖需まで、激しい目眩に襲われていた。



頭、痛い………
若干、ふらふらして。
ぼーっと、する。

視界が、暗くなって――





「妖需さん!?」

メシアの声が、遠くで聞こえる。



そのまま、すとん、と

暗闇に墜ちた











       †

あなたは 今 

見ていますか


私 と この曇天を



あなたは 知っていますか

この 胸の、痛みを



悲痛な想いに呼応して

唸る 風は

全てを掻き消して

皆 天上に掠われた

       †


冷たい風に、肌を撫でられて目が覚めた。


暗く、湿った空気。

先程までの景色とは、似ても似つかない。



それだけではなくて、目の前には、太く黒い鉄柵が聳え立っていて。



暗がりに人の影がない所を見ると、見張りはいないが、仲間達の身も案じられてくる。



武器、荷物の徴収は当然だろうが、後ろ手に拘束をされいきなり牢獄へ投函、というのは、穏やかな話でない。

妖需が眠っている間に、何があったというのだろう。



ここで、このまま大人しくしているべきか、仲間の安否を確かめる。


一瞬だけ、逡巡して。

覚悟を、決めた。


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