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肉を食べてはいけない村?

[660]  レオン  2008-05-18投稿
蜘蛛の子を散した様に、その影は逃げて行った。

男達はブルブルと震えながら、火を起して、横たわる男を照した。

「うっ」

男は無残にも、腹をかっさばかれて、生き絶えていた。


「生臭様だ。やっぱり山へ来るんじゃなかった…。」

男達は得体の知れない化け物を恐れ、今すぐに山を降りる事にした。

暗い山道を歩く。
カサッと木の葉が揺れる度にビクッと体が固った。


やっとの思いで、村まで降りた。「山上村」立て木に書かれた文字に男達はホッと胸を撫で降ろした。

しかし、村の様子がおかしい。男達は、嫌な予感に襲われた。

恐る恐る、近くの家の様子を伺う。

家の中は真っ暗で何も見えないが、目が慣れてくると小さな影が一つ揺れているのが見えた。

まさか…。

男は戸を勢いよく開けた。

ギィャ〜〜〜〜〜

悲鳴の様な声を上げて、それは飛び掛かってきた。

男達は一斉にそれを押さえ付けた。それで初めて、それの姿をハッキリと見た。

人間より一回り小さい、少し褐色の肌色をした人間。
顔は猿と人間の中間の様な。

「お前は何者だ!!!何故俺等を襲う?」

男がそれに言うと、それは少しなまりの入った片言の言葉で

「オラ達ノ村、食べ物ナイ。肉バ喰ウナイワレデモ、腹減ッタ。ダカラ、肉バ食ウ。オマイラ、生物デネェ。人間ノ肉食っテイイ。」

男達が周りを見ると、いつの間にか"ソレ\"が何匹も男達を囲んでいた。

「肉バ食ウ!!!!」




村の神社に奉られた村の掟の本にはこう書かれていた。

生神村の掟…
飢えが襲おうが、生物の肉は決して食うべからず。


そう、これは違う村の掟。
昔、奇形児やら障害のある子を隠す為に、作った村の掟。


こうして、山上村には誰もいなくなった。



掟とは、時として悲劇を産む要因になるのかも知れない…。


今この村があった所は、更地にされ、ただの林になった。そこに小さな祠が奉ってある。
心霊スポットとして若者が夜な夜な集まって来るが、この悲劇を詳しく知っている者は数少ないだろう。

何故なら、この伝説にはこんな掟があるから…

この話しを、聞くべからず.話すべからず。破りし者は村の呪いが降懸かるだろう。

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