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奈央と出会えたから。<154>

[557]  麻呂  2008-05-25投稿
『奈央ちゃんは、こんな遅くに外出して、家のヒトに怒られない?!』



車を運転している新谷先輩は、助手席のあたしに気を遣ってくれた。



『はい。大丈夫です。』



本当は、お母さんには秘密なんだけど‥‥。



お母さんが帰って来る前に帰れば大丈夫よね‥‥。





『先輩、コイツん家、親がキビシイから今日は、早めに帰りたいんですけど‥‥いいすか?!』



後部座席から、聖人が言った。



その優しさに―\r



また胸がキュンとなる―\r





『ハハハ。まだ新〇に着く前に帰る話かよ。

分かってるよ聖人。俺らも明日は仕事だしよ。』



『すみません!!あたしに気を遣って頂いて。』



思わず謝ってしまった。



そうだよね。



だって、聖人があたしの為に先輩に、車に乗せてくださいって頼んでくれたんだもん。



やっぱり悪いと思うし。





『お前達見てると、青春時代を思い出すな。

何も考えずに、ただ仲間と連んで、はしゃいでた‥‥あの瞬間が一番楽しかった、あの頃を。』



新谷先輩は、髪をオールバックにしていて、サングラスをしている。



それ故、助手席のあたしから見ても、あまり表情が分からなかった。



けれど、少しの憂いを秘めた、その口元から、顎のラインは、大人の男性の魅力を感じた。





『奈央。新谷先輩と大沢先輩は、巷じゃすげぇ有名な走り屋で通ってたんだぜ。』



後ろの席から聖人が言った。

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